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農林中央金庫ならではのサステナブル経営の実践を目指して

農林中央金庫 代表理事理事長 奥 和登

農林中央金庫
代表理事理事長奥 和登

変化する時代の中で、農林水産業の発展を支え続ける

農林水産業を支える協同組織の一員である農林中央金庫は、JA(農協)、JF(漁協)、JForest(森林組合)など会員のみなさまに金融サービスを提供することにより、農林水産業の発展に寄与し、国民経済の発展に資することを目的とした組織です。
農林中央金庫法第一条にあるこの社会的役割は、私たち役職員の一人ひとりが、どのような分野で仕事をしていても忘れることのない、唯一無二の使命です。そしてその使命を果たしていくため、食農ビジネス、リテールビジネス、投資ビジネスの3つのビジネス領域とそれらを支えるコーポレート機能を含め、さまざまな活動をしています。

さて、2019年度は、気候変動に起因するといわれる自然災害の増加を実感する1年でした。海外でも大規模森林火災など大きな災害がありましたが、国内農林水産業も大型の台風などにより甚大な被害を受けることとなりました。2019年12月に開催されたCOP25(国連気候変動枠組条約 第25回締約国会議)や2020年1月のダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)では、気候変動・環境問題への対応が喫緊の課題であることが世界で合意されるとともに、世界中の若い世代が地球の未来のために力強く行動を起こす姿が印象的でした。
また、2020年初頭より全世界で深刻な影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、感染症が経済・社会システムに与えるインパクトの大きさを痛感するとともに、パンデミックに対する企業や社会のレジリエンス(強靭性)の重要性を改めて認識することとなりました。持続可能な社会に向けて、ビジネスのみならずライフスタイルの見直しを迫られる契機になったものと認識しています。
こうした課題以外にも、世界的な人口増加による食糧不足、先進国における少子高齢化による労働力不足、生物多様性の喪失等、われわれの事業基盤そのものを揺るがしかねない課題が世界規模で急速に進展しています。パリ協定の本格運用の開始や、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」等、社会の持続可能な発展に向けた取組みは進展し、企業に対する社会的課題解決への期待も年々高まっています。こうした社会からの期待や要請を踏まえた事業運営が求められていると認識しています。
一方、私たちの事業基盤となる国内農林水産業は、“いのち”を育む食糧を産み出し、地域活性化や国土保全等の機能を有するかけがえのない産業です。異なる視点では、気候変動をはじめ最も自然環境に影響を受けやすい産業という側面を有しています。また、温室効果ガス(GHG)排出などにより農林水産業そのものが環境に負荷をかけている面もあります。
わが国においては、環境に配慮した農業の取組み進展、資源管理型漁業の展開、間伐や再造林等を通じた森林の多面的機能発揮により、農林水産業が環境に対して大きく貢献しているという側面もあります。こうした現状や課題もしっかりと認識したうえで、われわれはビジネスを通じて、GHGの排出削減をはじめ地球レベルの課題に積極的に、かつ、当然に取り組む必要があると考えています。当金庫がサステナブルな社会の実現に向けてどのように存在意義を示していくか、より一層深く考え、事業活動を行う必要があると強く感じています。

農林中央金庫の存在意義を自ら問い続け、本業に反映する

サステナビリティが重要視される世界の潮流の中で、企業に対する価値観や評価軸に大きな変化が起こり始めています。
従来は、環境・社会の「サステナビリティ」と、企業の存在意義である「パーパス」、経済的側面である「収益」はそれぞれが独立したものであるという価値観でした。しかし、SDGsやパリ協定を契機として、「サステナビリティとパーパス」を踏まえたビジネスが「収益の前提である」という新たな価値観が浸透し始めています。私たちは、この価値観を実現することこそが、サステナブル経営につながると考えています。
サステナブル経営の実現にあたって、当金庫がどのような価値を社会に提供できるのか、ステークホルダーや社会からの要請は何か、他社とは異なり当金庫だからこそできるビジネスは何かを問い続けます。そうして、私たちの存在意義(パーパス)を明確にし、それを踏まえたうえで、当金庫のサステナブル経営について役職員で議論、進化させてまいります。
当金庫は、2019年に持続可能性に関する5分野14課題のサステナブル課題を設定し、それぞれの課題の目指す姿としてのサステナブル中期目標を定めました。また、事業活動や役職員の行動の基盤を明確に示すため、環境方針・人権方針を策定するとともに、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同表明を行いました。
2020年度は、サステナブル中期目標を当金庫グループ全体の目標として位置付けました。グループ一丸でサステナブル経営を推進する体制を強化してまいります。
本年を当金庫グループの「サステナブル経営元年」と位置付けて、役職員一人ひとりの日々の業務に、われわれならではのサステナビリティの視点を根付かせ、着実に実践する年としてまいります。

コーポレートロゴに込めた思い
農林中金ロゴ

農林中央金庫のロゴマークに描かれているのは、農林水産業が営まれ、数多の「いのち」がつながってきた、日本の景色そのものです。海・大地・森の各色がひとつに混じり合うその様は、そこにある「いのち」の息吹と、ともに歩み続ける私たち一人ひとりの、意思を表しています。
私たちのビジネスは、農林水産業の営みによる「いのち」や自然の循環とともにあります。
地域社会に深く根ざしてビジネスを行うなかで、環境・社会課題の解決に取り組み、持続可能な農林水産業・社会の実現に貢献すること。
それが、農林中央金庫が果たしてきた役割であり、これからも一層の貢献に向け努力してまいります。

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