ごあいさつ
みなさまには、平素より当金庫の業務に関し、多大なるご支援等を賜り、厚く御礼申しあげます。
2022年度は、「中期経営計画(2019~23年度)」で掲げた「農林水産業と食と地域のくらしを支えるリーディングバンク」を目指す姿とすることを不変としつつ、業務運営を着実に進めております。
2022年度半期の金融市場は、グローバルなインフレーション率の高止まり等を背景に、海外の主要中央銀行が大幅な利上げを実施したことから、米欧中心に金利が著しく上昇しました。株式市場は、将来の景気後退への懸念等を受けて下落傾向が続いたほか、為替市場は大幅な円安が進行しました。
このような変動が激しく不透明な市場環境のなか、健全性を重視した財務運営を行った結果、2022年度半期において、1,865億円の連結経常利益を確保し、連結自己資本比率については普通出資等Tier 1比率12.59%、Tier 1比率15.78%、総自己資本比率15.78%となりました。引き続き、変化の激しい経済・金融環境の継続が想定されますが、適切な財務運営を行ってまいります。
今後の業務運営といたしましては、当金庫の存在意義(パーパス)のもとで、引き続き農林水産業の発展に尽力するという使命を果たし続けるべく、5つの取組事項「地球環境への貢献」「農林水産業・地域への貢献」「会員の経営基盤強化」「持続可能な財務・収益基盤の確保」「組織の活力最大化」を着実に実践してまいります。また、これらの取組事項の実践にあたっては、JAバンク中期戦略、JFマリンバンク中期戦略、森林系統運動方針などと一体になって、系統グループと連携して取り組むとともに、JAグループの一員として、不断の自己改革にも着実に取り組んでまいります。
JAバンク、JFマリンバンク、JForestグループおよび当金庫といたしましては、今後とも、協同組合ならではの役割・機能を発揮しつつ、みなさまから安心・信頼される金融機関・組織を目指していくとともに、農林水産業・農山漁村の振興や、環境・社会課題解決に貢献する取組みを進めてまいります。
農林水産業を巡る情勢については、新型コロナウイルス感染症による経済停滞を経て本邦経済活動の再開が本格化し始めた一方で、国際情勢の変化に伴う物価の上昇が農林水産業をはじめとして多くの産業に多大な影響を与えております。当金庫は農林水産業・地域を基盤とする金融機関の使命として、影響を受けている農林水産業に関連するステークホルダーのみなさまに対して最大限のサポートを継続してまいります。
最後になりますが、JAバンク、JFマリンバンク、JForestグループおよび当金庫を、これまで以上にお引き立て賜りますよう、お願い申しあげます。
2023年1月

理事長メッセージ

みなさまには、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申しあげます。
当金庫は、農林水産業者の協同組織を基盤とする全国金融機関として、1923年の設立以来、農林水産業の発展に尽力し、間もなく創立100周年の節目を迎えます。当金庫のビジネスは、農林水産業の営みによる「いのち」や自然の循環とともにあることから、当金庫ではこれを表象するものとして『持てるすべてを「いのち」に向けて。』をコーポレートブランドステートメントとして定めております。
この間、時代とともに農林水産業を取り巻く環境も移り変わり、足元では、新型コロナウイルスや国際情勢の変化から農林水産業や食農バリューチェーン、グローバルなサプライチェーンが大きな打撃や分断を受けているほか、気候変動をはじめとする環境問題やさまざまな社会問題も浮き彫りになっており、ビジネスを通じた課題解決が求められております。
今後もこれまでとは異なる非連続な変化が予測されるなか、引き続き農林水産業の発展に尽力するという使命を果たし続けるべく、当金庫では、地球環境への貢献、農林水産業・地域への貢献、会員の経営基盤強化、持続可能な財務・収益基盤の確保、組織の活力最大化という5つの取組事項のもと、持続可能な環境や社会のために未来に向けてどのような貢献をしていくのかという「存在意義(パーパス)」、その発揮に向けて当金庫が「目指す姿」、これを実現するための「中長期目標」、日々の事業活動の進路として「中期経営計画」を定めております。
役職員が特に重視すべき「共有価値観」に基づき日々の事業活動を通じて「経営計画」を達成し、その行き着く先として「中長期目標」の達成を目指していく。その姿が「目指す姿」を体現するための進路であり、社会に示す当金庫の「存在意義」につながっていくということを役職員一同共有し、取り組んでまいります。
これらを通じて、ステークホルダーのみなさまとの対話を深め、期待に応えながら、更なる農林水産業の発展と社会への価値提供に取り組んでまいります。

農林中央金庫の目指す姿

2030年中長期目標

「中期経営計画(2019~23年度)」の基本方針および重点戦略
当金庫は、2019年度から2023年度までの5年間を計画期間とする中期経営計画「変化を追い風に、新たな価値創造へ挑戦」に基づき業務運営を行っております。
これまでとは異なる非連続な変化が予測されるなか、引き続き農林水産業の発展に尽力するという使命を果たし続けていくため、下記の基本方針および重点戦略のもとで中期経営計画に取り組んでおります。系統グループとともに、お客さまの期待に応えることで「農林水産業と食と地域のくらしを支えるリーディングバンク」を目指し、更なる持続的成長と社会への価値提供を実現してまいります。
基本方針

重点戦略

2021年度の業務運営実績
2021年度は中期経営計画で掲げた「農林水産業と食と地域のくらしを支えるリーディングバンク」を目指す姿とすることは不変に、新型コロナウイルス対応をはじめ、環境の変化に迅速に対応して課題・方針を見直しつつ、存在意義(パーパス)を発揮し、厳しい環境下においても「目指す姿」を達成すべく、各取組事項を着実に実践しました。
地球環境への貢献
2030年中長期目標である「GHG排出量削減▲50%」に向け、その計測対象・計測手法を検討し、一部資産の計測を実施するとともに、市場性投資、企業等向け融資の双方において、環境・社会課題解決に資するサステナブル・ファイナンスの取組みに注力し、2021年度は1.5兆円程度の新規実行を実現いたしました。
農林水産業・地域への貢献
農林水産業や食農バリューチェーン、グローバルなサプライチェーンへの負の影響に対し、JAバンク・JFマリンバンク会員とともに、農林水産業者・地域に対する経営相談等の取組みを推進し、金融仲介機能の強化に取り組みました。引き続き、農林水産業・地域の成長に資するソリューション提供を行うことで、中長期目標で掲げた「農林水産業者所得の増加」に向けた取組みを行ってまいります。
会員の経営基盤強化
JAバンクならではの金融仲介機能を発揮するために、農業・くらし・地域の各領域において、総合事業を活かした創意工夫ある取組みを実践することとした「JAバンク中期戦略(2022~2024年)」を策定しました。JFマリンバンクでは、会員の事業・組織変革の完遂に向けて、全国3ブロックでの広域信漁連設立に向けた取組みのサポートを行いました。会員の取組みを実践・サポートすることで、農林水産業の持続可能な発展と成長産業化の貢献を後押しいたします。
持続可能な財務・収益基盤の確保
安定運用の基盤となる外貨調達の更なる安定化に向け、外貨建農林債の発行を行ったほか、規制や市場環境の変化を見据えた資金繰り運営や流動性リスク管理の高度化に努めました。また、新たな機能提供・収益源の多元化に向けた既存の投融資手法を深堀するとともに、更なる外部収益の獲得を目的として、農林中金キャピタル株式会社および農中JAML投資顧問株式会社を新設いたしました。グループ会社を通じた外部収益の拡大等、将来の収益源を発掘・育成してまいります。
組織の活力最大化
2022年1月の新本店への移転を契機として、感染予防対策と業務運営継続を両立すべく、時間と場所にとらわれない働き方の実現に取り組みました。また、女性活躍・ダイバーシティ推進を担う責任者としてCDO(チーフ・ダイバーシティ・オフィサー)を設置のうえ、女性管理者比率の向上、女性活躍推進に向けた取組みを進めております。仕事と育児の両立支援やワークライフバランスの実現、男性職員による育児休業の取得推進等、多面的な取組みを実施してまいります。
存在意義(パーパス)・中長期目標を意識し、より将来の持続可能性の強化につながる取組みを進めるとともに、中長期目標への経路・課題が具体化したなか、経営計画の完遂に向けて歩みを進めてまいります。