地域活性化に向けた取組み

地域の課題解決に向けた取組み

全国の各地域が、生産年齢人口の減少・高齢化を始めとしたさまざまな課題に直面しています。第29回JA全国大会では、全国のJAが取り組むポイントとして「持続可能な農業・地域共生の未来づくり」「地域共生社会の実現に向けて、多様な関係者との連携を強化し、関係人口の創出や健康増進活動の強化等により地域の活性化に取り組みます」と決議されています。

この方針を踏まえつつ、JAバンクでは、農業やくらしへの金融サービスの提供に加え、地域の課題解決や地域活性化に向けて、JAバンクならではの金融仲介機能を発揮していくことを目指しています。
当金庫は、各地域の実情・ニーズに寄り添うJAの創意工夫にあふれた取組みを後押ししています。

トピック

JAのネットワークを活用し、多様な関係者をつなぐことで、地域に新たな価値を創出
~店舗を活用して新たな取組み 多様な世代が集う場づくり~

JAみやぎ登米(以下、当JA)管内は県内でも特に人口減少と高齢化が進行しており、高齢者の健康寿命長寿化と地域コミュニティ深化が課題となっています。当JAでは2023年4月の金融機能集約化を機に、金融店舗跡地を地域の人々が集える「よりそい店」として活用し、組合員や利用者が生き生きと暮らせる地域を目指し、女性部・青年部や地域関係者と連携をしています。
具体的な取組みとして、JAのよりそい店を活用し、高齢者や地域住民向けに、フレイル予防効果が期待できる「eスポーツ体験講座」を県eスポーツ協会員と連携し開催しています。同講座に参加した地域住民の反響も上々で、JA管内のよりそい店4店舗で実施をしたほか、宮城県内の他JAにも同様の取組みが広がっています。
組織をまとめるJAの強みと施設の有効活用により、世代を超えた交流機会を創出するとともに、組合員・利用者にJAをより身近に感じてもらうことで、JAのファンづくりにつなげています。

トピック

「全国JAスマホ教室」で全国津々浦々での情報格差解消を目指す

国連が実施する世界幸福度報告では、人間関係や地域社会とのつながりが主観的な幸福に必要となる要素として定義されている一方、社会のデジタル化が進みコミュニケーションやサービスの手段が変化するなか、「情報格差」によるそうした「つながり」の分断が社会的課題となっています。
全国どこでも変わりない生活の利便性の維持や、遠隔地に居住する親類・友人等とのコミュニケーション等、今日の社会においてスマートフォンは既に私たちの生活に欠かせないインフラとなっており、この活用促進が「情報格差対策」の重要な打ち手のひとつになると考えています。
JAグループでは、地域のみなさまのご要望におこたえする「全国JAスマホ教室」を2021年7月より全国的に提供し、2024年3月末時点で累計約7,400回開催、延べ約66,000名分の参加申し込みをいただきました。
今後とも、デジタルサービスを活用した新たな体験の場を提供し、情報格差の解消に向けた取組みを進めていきます。

地域の農林水産業者を後押しする、農林水産業みらい基金

農林水産業みらい基金は、JA(農協)、JF(漁協)、JForest(森林組合)グループの一員である当金庫が200億円の基金拠出を行い、2014年に設立されました。農林水産業の「持続的発展を支える担い手」と「収益基盤強化に向けた取組み」、農林水産業を軸にした「地域活性化に向けた取組み」の支援を目的としています。

農林水産業みらい基金 助成先

農林水産業みらい基金 助成対象事業件数・助成金額

食農教育活動

全国小学校の5年生を中心とする高学年を対象に食農教育・環境教育・金融経済教育をテーマとした冊子を、特別養護支援学校向けのユニバーサルデザイン版とあわせて、毎年配布しています。2023年度は、「食品ロス」などのSDGsに関連するテーマを新たに追加したうえで、全国の小学校(約2万校)に約130万部を無償配布しました。

「農業とわたしたちのくらし」小学校高学年版(左)、ユニバーサルデザイン版(右)

次世代の農業経営者育成

当金庫がメインスポンサーを務める「一般社団法人アグリフューチャージャパン」は、会員各社の応援を得て、次世代の農業経営者の育成を目的とした日本農業経営大学校を2013年に開校し、これまでに128名の卒業生を輩出してきました。
開校10周年の節目を迎えた2023年には、「AFJ日本農業経営大学校」に校名を変更のうえ、農業経営教育のすそ野の拡大に向けて、オンラインスクールの展開を新たに開始。さらに、2024年4月には、アグリビジネス領域におけるイノベーターの育成を目指す教育課程も始めるなど、農業界に対する一層の貢献に挑戦しています。

ビジネスイノベーションの創出

オープンイノベーションの拠点「AgVenture Lab」

JAグループは、2019年、「次世代に残る農業を育て、地域のくらしに寄り添い、場所や人をつなぐ」をコンセプトに、イノベーションラボ「AgVenture Lab」(アグベンチャーラボ)を東京・大手町に開設しました。AgVenture Labは、JAグループのさまざまな事業と、技術やアイデアを持ったスタートアップ企業やパートナー企業、大学、行政等を結び付け、さまざまな知見やテクノロジーを活用しながら、新たな事業創出、サービス開発、社会課題の解決に向けて活動しています。

JAグループでは、AgVenture Labを通じて、スタートアップ企業の発掘と育成に取り組んでいます。
特に、JAアクセラレータープログラムでは、「食と農、くらしのサステナブルな未来を共創する」をテーマとして、JAグループで展開する幅広い事業を対象に、FinTech のみならず AgTech やFoodTech、LifeTech など幅広い分野のビジネスプランを募り、JAグループの強み(店舗をはじめとする各種インフラ、顧客ネットワークほか)も活用して新たなビジネスモデルの創出を目指しています。第5期となる2023年には、189件の応募の中から10社のスタートアップ企業を採択しました。
くわえて、学生起業家向けビジネスプランコンテストや起業家創出インキュベーションプログラムによる、起業を目指す学生・社会人や起業間もないスタートアップ企業等への支援も行っています。

JAグループ職員の教育にも力を入れており、新規事業創発型の人財育成プログラムや、職員をスタートアップ企業に留学させる越境研修型プログラムを運営。組織の意識醸成から実践での学びを発揮するまでをフォローアップし、正解のない問いに対し自らの行動をもって答えを探し続ける文化を育てています。

また、地域での社会課題解決を活動目的の一つとするAgVenture Labでは、農業者や行政と連携を深めています。
2020年には、農業の生産現場とスタートアップ企業との結びつきを促すため、全国農協青年組織協議会(JA全青協)と連携協定を締結しました。青年層中心に約5万人で構成されているJA全青協と、新たな技術開発を進めるスタートアップ企業との結びつきによって、大きなシナジー効果が期待できます。
また、農林水産省や地方自治体とも連携し、イノベーションの進展に取り組んでいます。

AgVenture Labの取組領域

「JAアクセラレータープログラム第5期」ビジネスプランコンテスト受賞企業
<ビジネスプランコンテスト優秀賞>「JAアクセラレータープログラム第5期」参加企業
株式会社ベンナーズ 「港と食卓を繋ぐお魚サブスク“フィシュル”」
株式会社ミライ菜園 「AIが毎日届ける病害虫予報で、農薬半減、収量最大40%アップ」
ASTRA FOOD PLAN株式会社 「乾燥・殺菌装置『過熱蒸煎機』で『かくれフードロス』の削減とアップサイクル」
株式会社RelieFood 「食のバリアフリーを実現するお菓子ブランド『Issa Kitchen Tokyo』」
KDBI株式会社 「水稲土中施肥技術【深肥】による農業環境と水田経営への貢献」
株式会社フェイガー 「農業由来カーボンクレジット生成&販売」
株式会社TRINUS 「埋もれた農業資源をクリエイターコミュニティにより発掘し、ビジネス化する」
輝翠TECH株式会社 「JAと連携し、AIロボットで 家族系果樹農家の所得を向上させる」
mizuiro株式会社 「おやさいクレヨン®️を軸とした アップサイクル ブランド化 事業」
株式会社AGE technologies 「相続手続きのDX化支援、家族間資産利活用のご提案」
<イノベーティブ賞>本プログラム外でアライアンスや支援の検討対象となる企業
株式会社LacuS、Ananthya株式会社、株式会社NEXT NEW WORLD、株式会社huntech、株式会社シンク・ネイチャー

トピック

食と農の課題解決プラットフォーム「農辞苑」

イノベーションラボ「AgVenture Lab」(アグベンチャーラボ)は、農業現場が直面する多くの課題の解決を目指し、農業支援サービス事業者を積極的にサポートしてきました。こうした活動の中で、農業者単独では適切なサービスを見つけることが困難だという課題を実感し、農業者・農業団体向けポータルサイト「農辞苑」を開設しました。
本サイトは、農林水産省の補助事業を活用して構築され、農業に関わるすべての人々が抱える課題の解決を目指します。本サイトのユーザーは、農業者、農業団体、行政機関などを想定しており、このサイトを活用することで、まず自らの課題を発見し、適切なソリューションの発見を促します。

「農辞苑」ホームページ

トピック

学生向けビジネスプランコンテストの開催

イノベーションラボ「AgVenture Lab」(アグベンチャーラボ)では、社会課題の解決を目指す学生起業家を支援するため、学生を対象としたビジネスプランコンテストを開催しました。
2023年度は、全国の大学、大学院、高等学校等から応募のあった126件のアイデアから11件のファイナリストを選出。2024年3月に開催したコンテストでは、ファイナリストそれぞれがビジネスプランを発表のうえ、参加者やJAグループをはじめとしたスポンサーとの連携を深めました。
JAグループは、こうした若者との協働・連携に向けての対話を積極的に行っています。

学生向けビジネスプランコンテスト参加者

【優秀賞】
• 株式会社Soffione(N高等学校) 「廃棄りんごに新たな価値を創り出すキッチンカーのFC展開」
• 株式会社クロスメディスン(徳島大学)「産後うつを予防する“awababy”」
• FairMed(神戸大学) 「AIによる血管内手術ナビゲーションシステム開発事業」

【農林中央金庫賞】
• 株式会社Soffione(N高等学校) 「廃棄りんごに新たな価値を創り出すキッチンカーのFC展開」

JAグループにおけるSDGsの取組み

SDGsの達成には、政府だけでなく、民間の団体・企業の役割も求められており、協同組織の役割も期待されています。
このような情勢や協同組合への期待を踏まえ、JAグループとしての基本的考え方を整理した「JAグループSDGs取組宣言」を2020年に公表しました。当金庫もJAグループの一員として、SDGsの達成に向けて、取組みを進めていきます。

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