反省を受け止め、教訓を糧に原点に立ち返り、
次の100年を築く新たな強みを
2024年度決算によって見えてきた反省点と未来への教訓
信頼の回復と「稼ぐ力」の再構築
新理事長としての決意
農林水産業の持続的発展に向けて
所得向上へのアプローチ
2030年に向けた中期ビジョンが目指す
私たちが社会の中で果たす役割とは
協同組織金融機関ならではの農林中央金庫の強みと責任
当金庫の最大の特徴は、利益の最大化を目的とする一般の会社組織とは異なり、協同組合という「相互扶助」組織であるという点にあります。これは、単なる運営の形態を示すものではなく、私たちの存在意義そのものを規定する価値観であり、行動原理です。つまり、「組合員のために」という明確な目的のもとにすべての活動が組み立てられているということです。
また、当金庫は法律により、その目的が「農林水産業の健全な発展と国民経済の向上に資すること」と定められています。このように明確な使命を持ち、なおかつ公共性を帯びた業務を展開していることは、私たちにとって大きな誇りです。世の中における自らの立ち位置を認識し、ぶれることなく行動できる軸を持っている。これこそが、長期的な視点で事業を進めるうえでの大きな力になっています。
そして、こうした組織の特徴は、資金の安定性という強みにも繋がっています。JA・JF・JForestなど会員のみなさまとの信頼関係の上に成り立つ預金基盤は、「長期視点での資金運用」を可能にするものであり、当金庫が農林水産業や地域社会に対して腰を据えた支援を行うための原動力となっています。
一方で、私たち自身の特徴や強みが、時に“弱み”にもなり得るという現実にも直面しています。たとえば、「共通の価値観」は結束を生みますが、同時に異質な意見を排除してしまう可能性があります。「安定性」は大きな強みですが、それが変化への対応力を鈍らせることもある――変化が激しい「非連続な時代」だからこそ、当金庫は、このことを強く意識しながら、その時代にふさわしい組織へと進化しなければなりません。
これからの当金庫にとって重要なのは、「二律背反に見える価値を両立させるバランス力」だと思います。すなわち、「安定性」と「柔軟性」、「同質性」と「多様性」、「伝統」と「革新」、これらを相反するものとして捉えるのではなく、むしろ共存させ、相乗効果を生むような組織運営が求められるのです。
2025年7月
代表理事理事長 北林 太郎