サステナブル・ファイナンス

農林中央金庫のサステナブル・ファイナンス

当金庫は農林水産業を支える協同組織の一員として、自らのビジネスが、農林水産業の営みによる「いのち」や自然の循環・地域社会における人々の豊かな暮らしとともにあることを認識したうえで、サステナブル・ファイナンスを通じた環境・社会課題の解決を目指します。
2021年度から2030年度までのサステナブル・ファイナンス新規実行額10兆円を目標に掲げています。

なお、サステナブル・ファイナンスには、グループ会社の農中信託銀行株式会社によるローンの組成、農林中金全共連アセットマネジメント株式会社が運用するESGファンドの外部運用受託、Norinchukin Australia Pty LimitedおよびNorinchukin Bank Europe N.V.による投融資および調達を含みます。

取組実績

2023年度までの累計で約7.0兆円のサステナブル・ファイナンスを新規実行しています。

アセット・商品別の内訳

投融資 市場運用資産等 約4.3兆円
プロジェクトファイナンス 約1.5兆円
ESGローン 約1.0兆円
投融資 計 約6.7兆円
調達 グリーンボンド・グリーン預金 約0.3兆円

環境・社会課題解決に貢献する投融資

欧州投資銀行の発行するサステナビリティ・アウェアネス・ボンドへの投資

当金庫は、欧州投資銀行が発行するサステナビリティ・アウェアネス・ボンド(以下「本債券」)へ総額300百万豪ドルの投資を実施しました。
本債券は、持続可能な環境・社会の実現に資する世界の活動・プロジェクトに投資資金が活用されることとなっており、今回当金庫が投資した本債券は「自然災害リスクマネジメント」を重要テーマとしたものです。近年、気候変動に伴い世界各地で自然災害の激甚化が見受けられる中、それらの災害に対する適応策の重要性は日々増しています。当金庫は本債券の投資を通じて自然災害リスクマネジメントの実現に資するインフラ整備等に資金を提供し、安全かつ持続可能なまちづくりに貢献していきます。

世界各地で手がけるプロジェクトファイナンス

投資ビジネスにおいて、プロジェクトファイナンスに本格的に取り組んでいます。貸出先の法人の信用度に応じて融資を行うコーポレートファイナンスとは異なり、プロジェクトファイナンスは特定の事業・プロジェクトを対象として、その採算性を評価したうえでファイナンス対応をしています。

プロジェクトファイナンス事例

環境分野
融資残高:11,200億円

英国・大陸欧州の洋上風力や海底送電線、中東・日本の太陽光発電など再生可能エネルギー案件にファイナンス対応しています。

社会分野
融資残高:12,664億円

豪州や中東の水処理案件、豪州・英国・中東の学校や病院をはじめとする公共施設など社会インフラ案件にファイナンス対応しています。

2024年3月末時点

サステナビリティ・リンク・ローンをはじめとしたESGローン商品

投融資先の経営戦略上の環境・社会課題解決に向けた取組みを促進するとともに、中長期的な企業価値をサポートするため当金庫ではESGローン商品を取り扱っています。
サステナビリティ・リンク・ローンは、投融資先の経営戦略に基づくサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を設定し、貸付条件と投融資先のSPTsに対する達成状況を連動させることで、投融資先の目標達成に向けた動機付けを促進するものです。
また、グリーン・ローン原則等に準拠した資金使途限定のローン商品としてグリーン・ローン(環境配慮事業)、ソーシャル・ローン(社会配慮事業)、サステナビリティ・ローン(環境・社会配慮事業)を取り扱っているほか、企業の脱炭素に向けた移行の取組みに対して資金供給を行うトランジション・ローンの取り扱いも開始しています。
これらの商品により、お客さまの環境・社会課題解決に向けた取組みをサポートします。

(単位:億円)

商品名 新規実行額
(2021~2023年度累計)
資金使途
サステナビリティ・リンク・ローン 4,363 非限定(SPTsを設定)
グリーン・ローン 3,247 限定 環境配慮事業
ソーシャル・ローン 491 社会配慮事業
サステナビリティ・ローン 142 環境配慮事業かつ社会配慮事業
トランジション・ローン 506 限定/非限定
気候変動に資する取組み
ポジティブ・インパクト・ファイナンス 977 非限定

農業法人へのGHG計測支援および金融支援

静岡県の農業法人である株式会社鈴生(以下、当社)と、 当社のScope1~2のGHG排出量削減を目標とするサステナビリティ・リンク・ローンの契約を2022年12月に締結しました。目標設定にあたっては、当金庫の支援により、アスエネ株式会社のCO₂見える化・削減・報告サービスも使用したGHG計測(Scope1~3)を実施しています。

電力安定供給とカーボンニュートラル実現を目指す取組み

当金庫は、JAバンク会員と協調して2023年9月に電源開発株式会社(以下、当社)との間でトランジション・ローン(資金使途不特定型)によるシンジケート・ローン契約を締結しました。本件は、グループ会社の農中信託銀行株式会社がアレンジャーを務め、JAバンク会員にてシンジケート団を構成するシンジケート方式のトランジション・ローンです。
トランジション・ローンは、脱炭素社会の実現に向けた長期的な戦略を策定したうえで、GHG排出量の削減に取り組む企業に対し、その取組みを支援することを目的としたファイナンス手法です。借り手の経営戦略に基づくサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を設定し、貸付条件をSPTsの達成状況に連動させることで、借り手に目標達成に向けた動機付けを促進し、持続可能な事業活動および成長を支援していくことを目指します。
本件では、当社の掲げる目標「J-POWERグループ国内発電事業CO₂排出量を2025年度までに920万トン、2030年度までに2,250万トン削減(2013年度比▲46%)」をSPTsに設定することで、電力の安定供給維持とカーボンニュートラルの実現を目指す当社の取組みを後押しします。

企業との協業等による気候変動問題解決への貢献

三菱地所株式会社(以下、当社)と当金庫は、大手町・丸の内・有楽町地区を起点に、様々な企業が連携、SDGs活動を推進する「大丸有 SDGsACT5」に参画するなど、幅広いテーマに対して街を挙げたSDGsへの挑戦を行ってまいりました。そのような活動も通じ、役職員レベルで対話を深める中で、気候変動問題の解決に貢献するSPTs(2025年度:再生可能エネルギー由来の電力比率100%、2030年度:CO₂等温室効果ガスの2019年対比の総量削減率Scope1~2 70%、Scope3 50%)を設定したサステナビリティ・リンク・ローンの契約を2022年10月に当社と締結しました。
当金庫は、企業との協業やお客様の取組みを後押ししながら、気候変動問題の解決に貢献していきます。

化学・農薬メーカーによるCO₂排出量削減の取組み

当金庫は2024年1月にイハラニッケイ化学工業株式会社(以下、当社)とグリーンローン契約を締結しました。当社は、クミアイ化学工業グループ傘下の化学メーカーで、トルエンやキシレンの塩素化から誘導される化学製品を中心に、医薬・農薬・染料・樹脂・繊維などの原材料を供給しています。
資金使途となるプロジェクトは、製造工程で発生する廃棄物(有機塩素化物)を燃焼させ、その熱エネルギーで蒸気を発生させるとともに、副産物として生成される塩酸を回収する設備の新設であり、発生した蒸気を熱源として利用することで、同社工場からのCO₂排出量削減に貢献します。

出資を通じた持続可能な環境・社会への貢献

当金庫では、お客様の環境・社会課題解決をサポートするファイナンス機能を拡充するため、サステナビリティに取り組むお客様等のエクイティニーズにも対応しています。出資先の取組みや技術をお客様や会員組織に還元することで、持続可能な環境・社会に貢献します。

トピック

脱炭素化の実現を目指すビジネス連携および新会社の設立
~余剰電力循環型太陽光PPAサービス~

※Power Purchase Agreement(電力販売契約)の略称

当金庫は、JA三井リース株式会社(以下「JA三井リース」)、JA三井エナジーソリューションズ株式会社、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ、株式会社VPP Japanとともに、「サーキュラーグリーンエナジー合同会社」(以下、当社)を設立しました。
当社は、太陽光発電設備の自家消費サービスに加え、当該設備から生じる余剰電力の有効活用を行う「余剰電力循環型太陽光PPAサービス」の提供を開始しています。本サービス利用者は、初期投資不要かつメンテナンスフリーで自家消費型太陽光発電を導入することができ、GHG排出量および電力コストの削減、電力の安定調達、非常時の電源確保等が可能です。JA三井リースや当金庫の取引先やJAなどの系統団体が保有する建物屋根への導入を推進することにより、脱炭素化を目指していきます。
なお、当社は2023年11月にJA全農ミートフーズ株式会社とPPAを締結し、高崎ハム工場の屋根に自家消費型太陽光発電設備を設置することについて合意しています。

グリーン調達の取組み

グリーンボンドの発行

当金庫では、海外市場において米ドル建農林債をグリーンボンドとして発行しています。農林債とは、当金庫の資金調達のために「農林中央金庫法」に基づいて発行が認められた債券を指します。
本債券は、再生可能エネルギー事業など環境改善に資する事業への投融資に資金使途を限定して発行するもので、当金庫にとって初めてのグリーンボンド発行です。発行に先立ち、グリーンボンドフレームワークを策定し、国際資本市場協会(ICMA)の「グリーンボンド原則2021」に準拠していることを確認しています。
グリーンボンドの発行およびその調達資金による投融資を通じて、持続可能な環境や社会の実現に貢献していきます。

日本銀行における気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション(気候変動対応オペ)への対応

日本銀行が行う「気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション」の利用に際して、わが国の気候変動対応に資する投融資と判断するにあたっての基準および適合性の判断のための具体的な手続きについて開示します。

気候変動対応オペの対象投融資(当金庫の定める基準に該当するもの)
:3,497億円 (2021年度末時点)
:9,587億円 (2022年度末時点)
:11,649億円(2023年度末時点)

JAバンクにおける取組み

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