人材戦略

挑戦する一人ひとりの力が、未来を動かす原動力になる。

当金庫における人材マネジメント方針

人材マネジメントに関する基本的な考え方

 当金庫は、ビジネス環境・働き方・価値観等、世の中の変化のスピードが加速するなか、自律的に専門性を磨いて活躍できる組織に変革していくことを目指し、以下のとおり人材マネジメントポリシーを定めています。

人材マネジメントポリシー 一次産業と地域への貢献意識を持って金融のプロとして自律的にチャレンジ・変革し続ける人材を継続的に支援する。

ジョブグループ制度の導入

 人材マネジメントポリシーのもと、「自律性」と「専門性」のコンセプトに基づく人事制度を構築しており、その一環として「誰のために、何の価値を、どのように提供するか」という観点で業務を区分したジョブグループ制度を導入しています。
 ジョブグループ制度は、職員が自らの希望と職務履歴に基づきジョブグループを登録し、以降は原則として当該ジョブグループに関連する業務を担うことで、中長期的に専門性を醸成していく仕組みです。  
ジョブグループを踏まえた異動ローテーションに加え、ジョブグループを細分化した「グループジョブディスクリプション」を策定し、機能別・職階別に必要な専門性を定義しているほか、専門性の評価・育成の単位である「ジョブコンピテンシー」を導入し、上司との定期的な1on1・評価・フィードバックを適切に実施することで、職員の専門性醸成を後押ししています。

ジョブグループ制度

キャリア階層(アソシエイト~マネジメント)と職務カテゴリ別のジョブグループ登録・異動の流れを示す図。

CC:コーポラティブ・セントラルバンキング/GI:グローバル・インベストメンツ/BE:ビジネスエキスパート

※CC:系統中央金融機関として、リテールビジネスを担う/国内支店:地域に根差して食農ビジネスやリテールビジネスを担う/BE:企画・フロント業務をサポートし、業務の発展・応用・効率化を担う

人材ポートフォリオ戦略

 当金庫では、事業戦略実現のために必要な人材群の形成に向けて取り組んでいく枠組みとして、人材ポートフォリオ戦略を策定しています。
人材ポートフォリオ戦略においては、事業戦略の達成に必要な専門性をジョブコンピテンシーとして定義し、コンピテンシー評価を通じて職員の持つ専門性を可視化しつつ、ジョブグループ制度を基盤として人材群を形成します。
 また、「海外ビジネス人材」・「DX人材」・「ITデジタル人材」・「サステナブル人材」など、今後の成長を支える組織横断的な重点人材の育成・確保にも注力し、計画的な人材投資を進めています。

人材戦略と事業戦略の連動

当金庫の人材戦略と事業戦略(中期ビジョン)の連動を表した図。

※上図で掲げる目標は「2030年度まで」で設定しています。また上記人材群の育成・採用にかかる取組みについては、次ページ以降をご参照ください。

足元の課題と現状の対応方向

人材育成にかかる取組み

 「ジョブグループ単位での専門性醸成」および「組織横断的な人材育成」を柱とした各種施策を展開しています。人材育成に投資を行うことで職員に学びの機会を提供し、人材ポートフォリオの構築・職員エンゲージメント向上に繋げてまいります。

当金庫の人材育成の概念図を表示しています。なお、当金庫の研修投資額は2024年度に783.9百万円であり、一人あたり23万円です。

ジョブグループ単位での専門性醸成

 ジョブグループ運営とあわせて、ジョブグループごとの育成体系の強化を図り、専門性醸成に繋げています。
 たとえば食農グループにおいては、収益向上とステークホルダーの価値創造を目指すべく、「貸出業務等で培った経験・知見に応じた研修」と「現場実践を通じたOJT」により人材育成を進めています。研修では業務経験に応じて、貸出業務の基礎知識の習得から、顧客に向けた経営課題解決型提案営業の実践に至るまで育成メニューを展開しています。

組織横断的な人材育成

(1)リーダー・マネジメント養成

 人材マネジメントポリシーに基づく人材育成を着実に進めるには、リーダー層・マネジメント層の役割発揮が重要です。求められるリーダーシップやマネジメントスキル、部下育成に効果的な対話力等を身に付けられるよう、職階に応じた研修体系を整備しています。また、「受講して終わり」とならない、職場での実践と連動させた研修プログラムによって定着を図っています。

階層別(アソシエイト~マネジメント)の研修内容を示す階層図。

(2)多様な経験・思考の獲得

 多様な思考を持った専門性ある人材群の形成に向けて、金庫内では得られない発想、価値観、働き方等に触れる機会として、越境研修(所属組織の枠を超え、異業種での業務経験や異業種社員と交流を図りながらともに学び、共創する経験)を展開しています。2024年度は25名の職員が参加しました。

越境研修にはスタートアップ企業等への派遣を通じた複業型とビジネススクール等への派遣を通じた異業種交流型の2種類があることを説明した図。

(3)自律的なキャリア形成

 職員の自律的なキャリア形成に向けて、コース(職種)を問わず、スキルアップ・リスキリング支援やキャリア自律支援を行っています。2024年度には社内インターン制度を新設し、自律的なキャリア開発・ジョブグループ登録に向けて自身の経験のない業務領域を体感し理解を深める機会を提供しています。
 また、海外拠点での業務経験機会として海外トレーニー制度や公募での海外留学制度(MBA、LL.M)も実施しています。

スキルアップ研修、リスキリング支援、キャリア自立支援、海外トレーニー・留学の4つに分類して各種研修制度を一覧にした図。なお、社内インターンは2024年度135名が参加。海外留学制度としてMBA/LL.M等取得者数は2024年度末で111名。 VOICE:越境研修(複業型)、タイトル:組織の外で学ぶということ、本研修に参加した理由は、自律的なキャリア形成が求められるなかで、社内でしか通用しない仕事をしているのではないかという焦りと将来に対する漠然とした不安を感じたからです。研修先企業では新商品の提案に取り組み、実際に商品化を検討いただくなど、これまで経験できなかった業務に携わることができました。また、所属する組織から離れた環境に身を置くことで、自身の弱みだけでなくこれまで培ってきた強みに気付くこともできました。今回の研修参加を通じて、自分の希望や考えを伝えることで次に繋がっていくこと、キャリアは仕事に限らずプライベートの活動や偶然の出会いからも作られることを実感し、自律的なキャリア形成に前向きになれました。グローバルバンキング部GB海外拠点企画班 外崎友恵。VOICE:社内インターン、タイトル:普段とは異なるジョブグループでの業務体験、本制度を通じて仙台支店でCCグループ(リテールビジネスを担うジョブグループ)の業務を経験しました。実際にJAに足を運び対話を重ねるなかで、地域ごとに異なる多様な課題を肌で感じました。また、JAバンクとしての金融仲介機能を発揮するために、当金庫が各JAの自主性を尊重しつつも戦略を検討し、取組みを後押しする難しさ・やりがいの一端に触れることができました。普段は食農グループにて、遠洋漁業者やJFグループの全国団体向けの貸出業務に携わっていますが、新たな業務領域に触れたことで当金庫職員としての「自身の将来像」や「磨きたい強み」を見つめ直すことができ、今後のキャリアを主体的に切り拓くモチベーションにも繋がる貴重な体験となりました。食農金融部マリンファイナンス班 周藤 向輝。

(4)組織横断的な人材群形成

 DX人材/ITデジタル人材の育成、サステナビリティやダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進など、中期ビジョンにおける2030年のありたい姿の実現に向けた組織横断的な人材群形成に取り組んでいます。

採用にかかる取組み

 多様な思考を持った専門性ある人材群の形成に向けて、キャリア採用(中途採用)の強化・目標採用者数の引上げに取り組んでいます。
 キャリア採用の強化にあたっては、職員の紹介に基づき選考を行うリファラル採用を導入しているほか、業務領域別の採用拡大に向けて、各募集ポジションにおいて求める専門性の具体化・可視化を進めています。また、新卒採用にあたっては、特定の専門性醸成を志向する人材に向け、初期配属部署を特定したコース別採用を導入したほか、専属リクルーター制度により、採用のミスマッチを抑制しています。

採用実績の推移のグラフ。新卒男性、新卒女性、中途男性、中途女性の順で、2020年は47、43、7、2。2021年は54、38、26、7。2022年度は54、62、20、6。2023年は61、64、22、6。2024年は76、86、34、16。
人材確保に向けた取組みとして、キャリア採用(中途採用)と新卒採用でそれぞれの制度を一覧にしています。キャリア採用は求める専門性の具体化に加え、リファラル制度や退職者エントリー制度。新卒採用はコース別制度に加え、専属リクルーター制度。

多様な働き方にかかる取組み

 多様な思考を持った専門性ある人材群の形成にあたり、様々な職員が、結婚・出産・育児・介護等、多様なライフイベントに合わせた働き方を選択することを可能にし、一人ひとりが多様なキャリア形成を自律的に行っていくことができる環境を継続的に整えています。

働き方改革関連制度

転勤本人選択、職種と転勤を切り離し、ライフステージに応じて本人が転勤有無を選択可能。スーパーフレックス、自律的で多様な働き方の実現に向け、コアタイムなしのフレックスタイム制度を導入。配偶者転勤休業、配偶者の転勤があっても、一定期間休業することで、キャリア形成をあきらめずに継続可能。副業、自律的なチャレンジを後押しし、副業を通じた幅広い知見・スキルの習得を可能に。

経営の基盤となる取組み

企業文化の浸透に向けて

 役職員がパーパスに共感できる組織であり続けるため、またそのパーパスの実現・発揮に向けた日々の業務の土台となる「共有価値観」の浸透を目指すため、当金庫は様々な施策を展開しています。以下ではその一例をご紹介します。

役員ゼミ

 職員のキャリア開発意識を醸成すること、そして職員エンゲージメントの向上や組織風土の改善を目指して、当金庫では役員一人と少人数の職員が対話する「役員ゼミ」を2019年度から実施しています。2024年度は計156回、延べ1,485名の職員が参加しました。

社内広報

 役職員がパーパスに共感し、パーパスを自分事化できている状態を目指し、職員が共有価値観に基づきながら実施した優良な取組みや多様な人材が組織内で活躍する姿を、農林中金グループ全体を対象とした「社内広報ポータル」で発信しています。2024年度は当該ポータル上で計65回の情報発信を行いました。

共有価値観「チャレンジ」の後押しに向けて(職員起業制度)

 当金庫では、共有価値観の一つに「チャレンジ」を定めていますが、職員の新たなチャレンジを後押しすることを目的に、職員起業制度「Nochu Seeds」を開始しました。2024年度は1案件を採択し、2025年度からの事業化検討の開始を決定しました。

職員エンゲージメントの向上に向けて

 当金庫では、毎年1回以上、職員を対象としたエンゲージメント調査(組織能力調査)を実施しています。調査結果は理事会などに報告し、結果の分析や課題の整理などを通じて、効果的な施策を検討・実施しています。
 職員エンゲージメントスコアは、職員の“やりがい”、“貢献意欲”、“他者への推奨意向(当金庫を他人に勧めたいか)”の3要素で測定しており、これらが一定程度高められている状態として、2030年度までに65%以上を目指す目標を設定しています。
 直近の調査結果では、各方針・施策の方向性や変化について職員の受止めに個人差が見受けられる等、経営からのメッセージ浸透に課題があることや、業務プロセスを更に改善させていく余地があること等を確認しています。こうした結果を踏まえ、以下「エンゲージメント向上に向けて実践中の取組み」をはじめ、各部店の実態を踏まえた創意工夫ある取組みを進めています。

職員エンゲージメントスコアの推移のグラフ。2022年度55%、2023年度54%、2024年度は55%。2030年度の目標を65%以上としています。
エンゲージメント調査(組織能力調査)を活用して、「見える化」、「対話」、「行動」のサイクルを回して職員のエンゲージメント向上を目指す図。
エンゲージメント向上に向けて実践中の取組み(一例)。社内広報の取組みを通じた情報発信の充実化(役員による情報発信の強化など)。職員との対話を目的とした役員ゼミの実施。DXの取組強化(生成AI等の導入やシステム環境の改善など)。本支店横断のプロジェクトチームを立上げ、事務合理化に向けたBPRを実施

ハラスメント対策

 セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、妊娠・出産ハラスメント、育児・介護休業ハラスメントなど職場におけるハラスメント防止については、階層別研修やeラーニングによる研修実施のほか、各部店の人権責任者、人権担当者による指導・相談、外部相談窓口の設置など、さまざまな取組みを行っています。
 職員からの個別の相談を受け付ける窓口として、ハラスメント相談窓口を設置・運営しており、職員が必要な時にすぐに相談できるよう周知徹底を図っているほか、関係者のプライバシー保護と迅速な対応にも取り組んでいます。職場の心理的安全性の確保に向け、ハラスメント行為の未然防止に注力するとともに、ハラスメント相談窓口機能の強化に取り組んでいます。

労働安全衛生

 当金庫では、職員が健康で安心して仕事ができるよう、職員が業務に専心できる環境づくりに力を入れています。当金庫では、中央衛生委員会が毎年、健康管理方針を策定しています。健康管理方針では、職員の心身の健康管理強化に取り組むとともに、健康増進支援に向け、各種施策を実施することを定めています。
 職員による定期健康診断の完全受診に取り組むとともに、家族の健康診断受診を促進しています。また、健康診断結果に応じて、産業医および医療系スタッフによる健康指導を行っています。この他、長時間労働による職員の健康への影響を踏まえて、労働時間の抑制に取り組んでいます。
 職場におけるメンタルヘルス対策の一環として、職員自身が行うセルフケアの充実や、カウンセリング等の相談機能の提供、各階層別研修でのメンタルヘルスにかかる周知・啓発を行っています。また、ストレスチェックの実施や、いつでも利用できるセルフチェック機能の提供のほか、本店医務室にメンタルヘルス相談室を設置し、随時相談に応じています。
 職員の健康意識を向上させ、日常的に適度な運動をする習慣を定着させるために、さまざまな啓発活動や福利厚生サービスの提供を行っています。具体的には、スポーツクラブの補助や、健康づくりリーダーを中心とした健康づくり活動を進めています。

労使関係

 当金庫では、経営と相対する組織として従業員組合が設置されています。また、当金庫の従業員組合はユニオンショップ制を取っており、入庫と同時に原則として全員が組合員になっています。
 当金庫の従業員組合は、組合員の労働条件の維持改善、その他重要事項について経営と交渉する権利を有しており、また経営と交渉するための組合員向けアンケートの実施や、それらの結果を踏まえて経営に各種提言を行う場を設置しています。経営は、組合員の生活や働き方に大きな影響を与える人事労務関連制度等の変更に際しては、経営協議会、労使委員会等で従業員組合と合意しなければならないとしています。

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