コンプライアンス

持続可能な価値創造を支える、コンプライアンス態勢の構築と健全なリスクカルチャーの醸成に向けて

 内外環境の変化や非財務リスク管理に対する社会的要請の高まりを踏まえ、ステークホルダーのみなさまからの信頼と期待に応え続けるためには、実効性あるコンプライアンス態勢の構築と、健全なリスクカルチャーの醸成が不可欠となっています。当金庫は、コンプライアンスを単なる規律や統制としてではなく、健全な挑戦を可能とし、持続可能な価値創造を支える基盤であると考えています。そのためには、職員一人ひとりが、誠実・公正を中核とする行動規範を判断軸とし、心理的安全性のもとで自律的な判断を行うカルチャーの醸成が欠かせません。2026年度は、「職員一人ひとりが誠実・公正と心理的安全性を守り・伝え・示す」をコンセプトに掲げ、こうした価値観が日々の業務の中で実践されるよう、経営層自らが継続的にメッセージを発信し、取組みを進めてまいります。

写真:千代 康治

執行役員(法務・コンプライアンス部長)
最高コンプライアンス責任者(CCO)
(非財務リスク担当)

千代 康治

コンプライアンスへの取組み

コンプライアンスの基本方針

 当金庫は、基本的使命と社会的責任を果たし、お客さまや会員からの信頼・期待に応えるために、徹底した自己責任原則のもとで法令遵守等社会的規範に則った業務運営を行っています。また、ディスクロージャー(情報公開)とアカウンタビリティー(説明責任)を重視し透明性を確保するよう努めることにより、コンプライアンスへの不断の取組みを積み重ねています。

 その一環として当金庫では、「倫理憲章」「環境方針」「人権方針」にコンプライアンスの基本方針を定めています。

コンプライアンスの運営態勢

 当金庫のコンプライアンス態勢は、理事会のもと設置されたコンプライアンス委員会、そしてコンプライアンス統括部署(法務・コンプライアンス部)、さらには各部店に配置されたコンプライアンス責任者等を中心に運営しています。コンプライアンス委員会は、当金庫のコンプライアンス態勢整備に関する重要な事項等を審議し決定する機関であり、重要性の高い同委員会の議案は理事会にも付議・報告しています(概ね年間2回)。また同委員会では、コンプライアンスに関する事項のほか、非財務リスクに関する事項についても取り扱い、これらの重要な業務執行に関する方針も協議しています。

 法務・コンプライアンス部は統括部署として、当金庫全体のコンプライアンス態勢の整備を担い、毎年度策定するコンプライアンス・プログラムの推進と各部店の活動支援を行っています。また、各部店のコンプライアンス責任者は、部店におけるコンプライアンス実施の最終的な責任者として、コンプライアンス・プログラムに基づく各種取組みを確実なものとしています。

コンプライアンス運営態勢図

コンプライアンスに関する運営体制を示した図

具体的なコンプライアンスの実践方法

 法務・コンプライアンス部は、コンプライアンス委員会の事務局になるとともに、コンプライアンス審査、各部店からのコンプライアンスにかかる相談対応や、部店を訪問してコンプライアンス実践状況の確認・指導を行うコンプライアンス・モニタリングなどを通じて、当金庫のコンプライアンス態勢の強化に取り組んでいます。また、当金庫内での研修の企画・出講や、eラーニング・研修動画作成を通じて、役職員の意識醸成も図っています。

 そのうえで、当金庫では、部店における態勢として、コンプライアンス責任者である部店長等とコンプライアンス担当者・コンプライアンス・リーダーを中心に、全職員が取り組むことで運営しています。特にコンプライアンス担当者は、法務・コンプライアンス部長が直接任命しており、部店のコンプライアンス関連事項を総括し、職員からのコンプライアンス相談・質問対応、部店内での教育・指導、法務・コンプライアンス部等への連絡・報告・相談対応などを行う役割を担っています。

 また、すべての本部に法務・コンプライアンス・オフィサーを設置し、各本部業務をコンプライアンス面からサポートしています。当該オフィサーは、本部担当役員に対する法務・コンプライアンス面の相談対応・助言のほか、本部における研修啓発活動の企画・推進や、コンプライアンス・リスクの特定や評価等も行っています。

「コンプライアンス・プログラム」について

 コンプライアンス態勢および顧客保護等管理態勢の整備をはじめ、取組みの推進や教育研修などの実施計画を「コンプライアンス・プログラム」として年度ごとに策定のうえ、その進捗を管理することにより、コンプライアンス態勢などの一層の充実を図っています。

グループ会社との連携

 グループ・コンプライアンス会議等を通じてコンプライアンス上の課題認識の共有を図っているほか、各社コンプライアンス・プログラムの進捗状況に対するアンケート結果での効果測定、グループ共通の外部相談窓口への報告状況や各社へのオフサイト(必要に応じてオンサイト)モニタリング等を通じて課題の早期発見・対応に努めています。

内部通報制度について

 当金庫では、コンプライアンス上の問題がある場合に、役職員などが電話や電子メールなどで通報できるよう、「コンプライアンス・ホットライン」を設置しています。

 「コンプライアンス・ホットライン」は、法務・コンプライアンス部または外部弁護士に通報ができる複数の窓口を整備しており、役職員が実名あるいは匿名での通報を選択できる仕組みとしています。また、通報を受け付けた際には、調査を実施して必要な改善・是正対応を行うほか、通報した役職員などに対する不利益な取扱いの禁止、通報に関する秘密保持など、通報者保護を最優先とした運営を行い、制度の信頼性向上にも努めながら取り組んでいます。

 なお、2025年度は計17件の通報を受け付けましたが、当金庫の経営に重大な影響を及ぼすものはありませんでした。また、海外支店では上記窓口とは別に職員が通報できる窓口を設置していますが、2025年度の通報実績はありませんでした。

行動規範浸透の取組み

行動規範の策定と共有価値観の浸透

 当金庫では、全役職員に「行動規範」を周知し、事業活動の前提である誠実・公正な業務遂行に向けた判断・行動の基準を示すとともに、「共有価値観」を具体的に実践するための考え方を示し、コンプライアンス・マインドの浸透と業務への反映・実践に取り組んでいます。

行動規範の浸透・実践に向けた活動事例

若手職員の教育 金融機関職員としての高い倫理意識や「チームワーク」等の共有価値観の醸成に向けた、若手職員教育プロジェクトの実施
海外支店への浸透 海外支店における現地採用職員向け行動規範勉強会資材(英語版)の作成
職員間の意見交換 「心理的安全性」、「チームワーク」、「ハラスメント防止」をテーマとした意見交換会の開催
イベント開催 職員の意識改革や良好な職場環境の維持を目的とした「支店整理整頓活動(美粧化運動)」の実施
職員満足度向上・職員一体感の醸成を目的とした「家族職場見学会(ファミリーデー)」の開催

共有価値観の考え方

グローカル 当金庫は、地域の協同組織に立脚した金融機関でありながら、資金・情報・ノウハウのグローバルな活用を通じて、農林水産業・地域社会に貢献するという社会的役割を担っています。私たちは、一人ひとりがグローカルを意識し、グローバルとローカルを双方向から繋ぐ当金庫らしいユニークな事業を通じて、その使命を果たしてまいります。
プロフェッショナリティ 金融機関・農林水産業を取り巻く環境が時代とともに変化するなか、当金庫は設立から現在にいたるまで、自らを変革することによって適応し、約100年にわたって使命を果たしてきました。次の100年も使命を果たしていくため、私たちは、プロ意識と高い専門性を追求し、当金庫ならではの価値を提供することで、ステークホルダーから真に必要とされる存在になることを目指します。
チームワーク ステークホルダーの様々な期待に応えていくためには、様々なバックボーンを持った役職員が協働・共創することが必要です。私たちは、個人としては目的意識と自己責任意識を持ち、チームとしてはお互いに思いやり、信頼・尊重して、コミュニケーションを大切にしながら、チームワークを最大限発揮してまいります。
チャレンジ 変化の激しい時代において、経営の健全性を保ちながらステークホルダーの期待に応えていくためには、新たな価値創造を続けていく必要があります。私たちは、パーパスをしっかりと見据え、変化をチャンスと捉え、積極的にチャレンジしてまいります。
成長 私たちがパーパスを発揮し続けるためには、持続的な成長を実現し、ステークホルダーから必要とされる存在であり続ける必要があります。私たちは、一人ひとりが成長を実現することで、組織としての成長を実現し、社会への更なる価値提供を目指します。

ディスクロージャーの充実

 当金庫では、ディスクロージャー誌などの情報開示およびその適切性に関する事項等を決定・協議する機関として「情報開示会議」を設け、ディスクロージャーに関する取組みの充実・強化を図っています。当金庫のディスクロージャーポリシーはこちらをご覧ください。

マネー・ローンダリング等防止への対応

 当金庫では、マネー・ローンダリング等防止にかかる方針を以下のとおり定め、グループ全体で関連法令を遵守するとともに健全な金融仲介機能発揮に努めます。

グループ共通の基本方針

 当金庫ならびに農林中金グループは、適用となるすべての法令等を遵守し、顧客の受け入れに際して堅確な確認措置等を図り、反社会的勢力やテロリスト等を排除し、リスクベース・アプローチによる継続的な顧客管理措置を実施します。また、当金庫ならびに農林中金グループの特性に応じたマネー・ローンダリング等を防止する管理態勢を実効性のある形で整備します。

顧客管理の実施方針

 当金庫は、マネー・ローンダリング等防止に関して、適切な内部態勢を整備し、リスクベース・アプローチの考え方に則り、以下の措置に取り組みます。

  • 顧客受入時における多様な情報を勘案した取引時確認、確認記録書の保存等の実施措置
  • 業務特性を踏まえた取引モニタリング、疑わしい取引の届出とその分析・管理等、マネー・ローンダリング等リスク低減のための管理措置
  • マネー・ローンダリング等リスクの高い顧客に対する追加的な確認等の厳格な管理など、顧客ごとにおけるマネー・ローンダリング等リスクの大きさに応じた管理措置
  • 全顧客取引の定期的な調査・分析結果等による顧客管理措置の見直し
  • 適切な顧客管理が実施できない場合等における取引謝絶等の措置
  • テロリスト等に対する資産凍結等の措置
  • 経済制裁違反リスクの防止・諸規制への適切な対応
  • 金融犯罪防止に向けた適切な対応
  • コルレス契約締結時の外国銀行におけるマネー・ローンダリング等防止態勢にかかる確認
  • 上記措置の継続的な管理、見直し

内部管理態勢の実施方針

 当金庫は、マネー・ローンダリング等防止のための内部管理態勢の整備として、以下の措置に取り組みます。

  • マネー・ローンダリング等防止のための方針・規定・計画の策定、実施、遵守状況の点検・検証、その結果を踏まえた継続的な態勢改善
  • 全役職員への指導・研修等を通じた、マネー・ローンダリング等防止の重要性と各自の役割等についての周知ならびに企業風土の醸成
  • 統括管理者の選任
  • 顧客を所管する営業部店、業務所管部、監査部門等における役割の明確化
  • 海外拠点ならびに農林中金グループ全体の管理態勢向上にかかる措置、顧客管理状況等の経営報告および改善措置の継続
  • その他必要な措置

振り込め詐欺への対応

 当金庫では、振り込め詐欺等の振込利用犯罪行為による被害者救済のため、振り込め詐欺救済法に基づいた手続を定めるとともに、振り込め詐欺の防止に取り組んでいます。

反社会的勢力排除への対応

 当金庫では、倫理憲章に基づき、社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力に対して毅然とした態度で対応し、関係遮断を徹底するために、以下の基本原則に沿って組織的な排除態勢を構築し、健全な経営を確保するよう取り組んでいます。

(1) 組織としての対応
 倫理憲章以下の規定に明文の根拠を設け、担当者や担当部署だけに任せずに、理事長以下、組織全体として対応する。
 また、反社会的勢力による不当要求に対応する従業員の安全を確保する。

(2) 外部専門機関との連携
 反社会的勢力による不当要求に備えて、平素から、警察、暴力追放運動推進センター、弁護士等の外部専門機関と緊密な連携関係を構築する。

(3) 取引を含めた一切の関係遮断
 反社会的勢力とは、取引関係を含めて、一切の関係をもたない。また、反社会的勢力による不当要求は拒絶する。

(4) 有事における民事と刑事の法的対応
 反社会的勢力による不当要求を拒絶し、必要に応じて、民事と刑事の両面から法的対応を行う。

(5) 裏取引や資金提供の禁止
 反社会的勢力による不当要求が、事業活動上の不祥事や従業員の不祥事を理由とする場合であっても、裏取引を絶対に行わない。また、反社会的勢力への資金提供は、絶対に行わない。

腐敗防止

 当金庫では、「行動規範」のもとに定める「接待・贈答等規則」において、強要や贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止に取り組むことを明記しています。贈収賄とは、受領者に影響を与える意図をもって、財物等(非金銭的な便宜も含む)を提供しまたは提供を申し込む行為、および、提供者に便宜を図る意図をもって、財物等を受領しまたは請求する行為を含みます。
 本規則に基づき、当金庫または役職員の接待・贈答等の適切性を確保するため所要の手続きを定め、役職員への周知徹底を図るとともに、接待・贈答等の実施にあたっては、コンプライアンス責任者およびコンプライアンス担当者が適切性のほか法令遵守等の観点から問題ないことを事前に確認のうえ実施することとしています。
 また、コンプライアンス統括部署は接待・贈答等の実施状況について定期的にモニタリングを行い、コンプライアンス担当役員、コンプライアンス委員会および理事会に報告しています。
 なお、腐敗・贈収賄等を含むコンプライアンス上の問題がある場合、役職員などが電話や電子メールなどを通じて通報できる「コンプライアンス・ホットライン」を設置しています。

情報セキュリティ管理

 当金庫では、お客さまとの取引において入手した様々な情報を各種業務に活用していることに加え、IT技術の進展により情報を取り扱う環境や目的も多様化しています。こうした背景を踏まえて、適切にお客さまの情報を保護・管理するため、非財務リスクのなかでも特に情報セキュリティ管理を重視しており、理事会が情報セキュリティ管理の態勢整備にかかる最終責任を有するガバナンス体制を構築しています。

 また、全職員に対し情報セキュリティ管理のeラーニング必須受講や各種研修を毎年実施し、意識向上を図っています。特に個人情報の取扱いについては「個人情報保護宣言」を定めて、適切な態勢を構築しているほか、海外においても欧州・米国でそれぞれ適用されるプライバシーポリシーも策定しています。また、サプライヤー(外部委託先)に対しても、当金庫と同等のリスク管理水準を確保しうるプロセス・契約関係を整備し、適切な個人情報の取扱いが行われるよう取り組んでいます。

情報セキュリティにかかるガバナンス体制

こちらは農林中央金庫の情報セキュリティにかかるガバナンス体制を説明した図です

相談・苦情等処理体制

 当金庫は、お客さまからのご相談・苦情などを真摯に受け止め、迅速かつ組織的に対応するとともに、前向きに業務へ反映させることにより、お客さまの利便性向上に取り組んでいます。

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