JAバンク・JFマリンバンクの一員としてさまざまな金融機能を提供
事業内容
JAバンク・JFマリンバンクの概要
全国各地のJAおよびJFは、独立した金融機関として、地域や組合員・利用者ごとに異なる金融ニーズにきめ細かに応えています。このリテールサービスをより効率的かつ効果的に提供するため、都道府県レベルではJA信農連・JF信漁連が、全国レベルでは当金庫が連携し、「JAバンク」・「JFマリンバンク」として一体的な事業運営を行っています。この仕組みを「JAバンクシステム」・「JFマリンバンクシステム」と呼んでいます。
このうち「JAバンク」では、農業融資などの生産活動をサポートする資金対応はもとより、就職・結婚・住宅購入・退職といったお客さまのライフイベントに基づいた適切な金融商品やサービスの提案、安定的な資産形成・資産運用などの提案にも取り組んでいます。後者の取組みを「ライフプランサポート」と総称し、貯金・決済・住宅ローンといった各種金融サービスに加えて、投資信託や遺言信託サービスを提供しています。更に、JAが運営する他の事業のサービス(指導・経済・共済など)も組み合わせて、多くの世代のお客さまに総合事業ならではのサービスを展開しています。
また、JAネットバンクやJAバンクアプリの機能を拡充するなど非対面チャネルを強化・拡充しています。加えて、渉外・専門人材を配置する「総合サービス店舗」、効率化を実現しながら利用者との接点を強化する「よりそいプラザ」など対面チャネルの再構築も進めています。
「JFマリンバンク」では、漁業専門金融機関としての知見を活かした資金対応のほか、ライフイベントに応じた生活ローン相談、事業承継相談などに対応することで、漁業と地域のくらしを支えています。
JAバンク・JFマリンバンクの規模
当金庫がリテールビジネスで担う機能
このようなJAバンク・JFマリンバンクにおいて、当金庫は全国機関としての役割を担っています。
JAバンク・JFマリンバンクの戦略や商品・サービスの企画を行うとともに、組合員・利用者のみなさまに対して“どのように商品・サービスを訴求していくか”をJA・JFとともに考え、ともに実践していく役割を担っています。総合的戦略として全国レベルで「JAバンク中期戦略(2022~2024年度)」、「JFマリンバンク中期戦略(2024~2026年度)」を定めており、これらをもとに都道府県あるいはJA・JFでそれぞれの戦略を検討・実践しています。
このほかにも全国のJA・JFなどが利用するデジタルインフラや統一的な事務手続等も提供しています。決済ネットワークの提供から法令・制度等への対応として様々な取りまとめも行っています。
また、個々のJA・JFが抱える課題はその地域や組織の状況によって様々です。まずはJA・JFの自主性を尊重しつつ、足元では個々の組織がとるべき経営戦略の明確化を促し、後押しする取組みを実践しています。また、JAバンクシステム・JFマリンバンクシステムの安定性と健全性を確保していくため、「JAバンク基本方針」・「JFマリンバンク基本方針」のもと、当金庫は個々のJA・JF等に対して必要な経営指導や支援等を行っています。
中期ビジョンにおけるリテールビジネス
2030年の環境認識(リテールビジネス)
- 人口減少・高齢化が更に進展するなどJA・JFの事業基盤が変容するなか、更なる経営効率化や事業変革の必要性が一層高まっている。
- 農村部から都市部への人口移転が加速している。第一次産業への関心の高まりで異業種参入も進むなか、地域経済・インフラの担い手として、総合事業を営むJA・JFに対する社会的な価値および期待は増している。
- デジタルサービスの急速な進展で、全世代においてシンプルな金融取引は非対面、低コスト化していく世の中に。一方で、資産管理を中心に地元に根差した信頼の置ける金融機関への相談ニーズは根強く、対面かつ専門性の高いアドバイス・相談機能の提供が金融機関としての競争力の源泉になり得る。
「2030年のありたい姿」の実現に向けた考え方
営業支援機能の活用等、デジタル・データ利活用を強く意識し、信用事業の効率化、利用者への高度なサービス提供に繋げてまいります。
事業基盤を維持するためには、利用者から選ばれ続ける価値提供、デジタルを利用した幅広い顧客層へのアプローチが不可欠です。他事業との連携を含む非対面チャネルのUI(ユーザーインターフェース)・UX(ユーザーエクスペリエンス)向上により実現してまいります。
JA・JFの経営高度化、利用者への提案力強化に向けて現行の取組みを更に強化してまいります。
主な取組み
令和6年能登半島地震への取組み
能登半島地震により被災したJAバンク・JFマリンバンク利用者の支援
災害相談対応/貯金の緊急払い出し
JAバンク・JFマリンバンクでは能登半島地震発生後、速やかに災害相談窓口を設置するとともに、金融上の措置に関する利用者への周知を行うなど、被災者への支援対応を進めてきました。また被災者の復旧資金ニーズに迅速に応えるための災害対策資金を設けたほか、ローン利用者のうち希望する方への自然災害ガイドラインの活用や返済猶予等の相談対応も実施しました。
また、JAバンクでは石川県内のJA利用者を対象に、取引JA以外の全国のJA店舗において、JFマリンバンクではJF東日本信漁連の管内において、通帳や届出印が無い場合でも貯金の払い戻しを行う緊急対応を実施しました。このうちJAバンクでは貯金の払い出しのほか、事故届や通帳・キャッシュカード再発行の受付にも対応し、2024年3月末時点で累計2千件を超える取扱実績となるなど、JAバンクが一体となり、被災した利用者へ寄り添った金融サービスを提供してきました。
移動店舗車両の派遣

JAバンクでは「農業と地域・利用者をつなぐ金融サービスの提供・地域貢献」の役割の発揮とBCP対応の観点から、2016年度より移動店舗車両の導入を進めており、2024年3月末時点で計138台の車両が導入されています。
災害発生時は、被災により店舗営業が困難となったJAからの要請を受け、派遣対応可能な県域を検討・調整のうえ車両派遣を行う仕組みを構築しています。能登半島地震の際は、被災によって一部の店舗運営が困難となった石川県のJAのとに対して、長野県のJA上伊那が移動店舗車両を派遣し、被災した店舗利用者への金融サービスを提供しました。

非対面サービス提供への取組み
JAバンクアプリの利用者満足度向上

JAバンクでは、2019年12月に「JAバンクアプリ」をリリースしました。2023年度末の累計ダウンロード件数は約270万件と多くの方に利用されています。JAバンクは利用者の年齢層が高い傾向にあるため、JAバンクアプリは誰もが安心して直感的に利用できるシンプルなUI/UXデザインとしており、2021年にはグッドデザイン賞も受賞しました。
世の中のデジタル化が急速に進展しているなか、JAバンクにおいても利用者満足度の高い非対面サービスを提供していくことが重要と考えています。アプリをはじめとした非対面チャネルを利用者のみなさまとの新たな接点と位置づけたうえで、これからも様々な機能拡充を行い、利用者の満足度向上に努めてまいります。

顧客本位の業務運営に基づく提案力強化への取組み
資産形成サポートプログラムによる「提案軸の推進」

JAバンクでは、利用者への提案力を強化していくために「資産形成サポートプログラム」という取組みを2018年度より導入しています。これは、当金庫の職員を一定期間JAへ派遣(出向)し、現地でJA職員と同行訪問等を行いながら、利用者の資産形成・資産運用にかかるニーズに対して適切な提案ができるよう訓練する育成プログラムです。
顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)に基づき、商品ありきの単品セールスではなく、利用者のニーズを十分にヒアリングし、そのうえで必要と考えられる商品・サービスを提案することを重視しています。
