JAバンク・JFマリンバンクの運用の最終的な担い手として安定した収益を追求
事業内容
高度なリスクマネジメントのもと国際分散投資を通じて、中長期的な安定収益を確保
JAバンク・JFマリンバンクの資金を最終的に運用する役割を担っているのが、私たち農林中央金庫です。そのため、投資ビジネスでは中長期的に安定した収益を確保し、運用益を会員に還元し続けていくことを究極の目的として、スケールメリットを活かした効率的な運用を行っています。
この目的の実現を目指し、日本が低金利時代に入った25年ほど前から、グローバルな金融市場を舞台として、いち早く「国際分散投資」に取り組んできました。現地法人を含めた海外の各拠点を活用し、グローバルなネットワークを構築しています。豊富に得られる情報を精査したうえで活かし、限られた市場・資産に集中投資するのではなく、リスク・リターン特性の異なる幅広い市場・資産に分散投資することにより、ポートフォリオ(運用資産)全体のリスクを抑制しています。私たちは、中長期的な収益の安定化を極限まで追求するため、投資手法やリスクマネジメントについて不断の見直しを行い、国際分散投資の高度化に挑戦し続けています。
また、投資ビジネスでは、サステナブル・ファイナンスにも取り組んでいます。たとえば、自然災害に対するリスクマネジメントを重要なテーマとする債券への投資などを積極的に行うことにより、持続可能な環境・社会や農林水産業の発展を投資の面から後押ししています。
資産運用ビジネスを一層強化
──農林中金グループ一丸となって収益源の多様化に取り組む
資産運用ビジネスを強化するという方針のもと、私たちは2021年度、クレジット・オルタナティブ投資の運用機能を、グループ会社である農林中金全共連アセットマネジメント(NZAM)に移管しました。また同年、新たに、プライベート・エクイティ投資に取り組む農林中金キャピタル(NCCAP)、国内不動産私募リート運用を担う農中JAML投資顧問(NJIA)といったグループ会社も設立しました。これら新設会社のほか、農中信託銀行や農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)も含めたグループ5社を中核に資産運用ビジネスを展開しており、私たちの運用経験をお客さまの多様なニーズに役立ててまいります。
また、当金庫本体とグループ会社がより一体的に機能することを目指し、当金庫においても、投資フロント部署である開発投資部に資産運用ビジネスをサポートする専門チームを設けており、グループ一丸となった資産運用ビジネスの強化を目指しています。景気変動に左右されにくい運用手数料の獲得による収益源の多様化を通じて、投資ビジネスでの収益の増加と安定化、ひいてはパーパス(私たちの存在意義)の実現・発揮につなげてまいります。
当金庫の資産運用グループ会社 ~充実した商品群をお客さまに提供~
中期ビジョンにおける投資ビジネス
2030年の環境認識(投資ビジネス)
- 投資環境は、グレートモデレーション(低インフレ・低金利・低ボラティリティ)の終焉、金利のある世界の復活、政策調整の頻度上昇などの変化が生じている。一方、一定の景気サイクルや、当金庫を取り巻く厳しい金融規制などは大きく変わっていない。
- 長期的に変わるものと変わらないものを踏まえつつ、収益獲得にかかる高度化・多様化を目指していく状況にある。
2030年のありたい姿実現に向けた考え方
従来の財務運営を振り返りつつ、今後想定される環境変化等も踏まえながら、投融資ポートフォリオの見直しを含めた現行の国際分散投資をさらに発展させてまいります。
また、貸出ビジネスや資産運用ビジネスの収益向上も図ることで、持続的な財務・収支基盤の維持・構築を目指し、会員からの安定的な収益・機能還元に関する期待に応えてまいります。
主な取組み
農林中金全共連アセットマネジメント(NZAM)の取組み
JA基盤を活かした資産形成サポートや資産運用ビジネスを展開
NZAMは、クレジット投資・オルタナティブ投資を含むフルラインナップのアセットにアクセスできることを強みに、全国のJA信農連を含む機関投資家に対して、幅広い商品を提供するとともに、専門人材の育成や、ポートフォリオ運営・リスク管理等にかかるソリューション機能の更なる拡充に取り組んでいます。
一方で、個人向けにも、JAなどを通じて投資信託商品を数多く提供しています。アセットマネジメント会社として有するノウハウや専門性を活かして、投資信託の販売を担うJA職員や、実際に購入される組合員・利用者向けに、研修・セミナーなども行いながら、個人の資産運用をサポートしています。
不動産ESGインテグレーションの高度化への取組み
ESGインテグレーション高度化と系統保有資産の有効活用
当金庫は組織全体で持続可能な社会に貢献する経営を目指しており、2030年度までにサステナブル・ファイナンスの新規実行額10兆円という目標も掲げています。この流れを加速するべく、不動産投融資の分野ではESGインテグレーション※1に取り組んでおり、2021年9月にはGRESB※2の投資家メンバーにも加盟しました。GRESB評価やグリーンビル(GB)認証を活用したESGインテグレーションを強化し、ESGの取組みを積極的に行う不動産ファンドへの投資を進めています。
また、ESGインテグレーションの高度化に向けて、国内不動産運用会社全先との対話(エンゲージメント)と、ESG評価を踏まえた投資判断への反映(投資可否、金額・シェア)も行っており、投資家の立場から不動産分野におけるESGの取組強化を促しています。
こうした取組方針のもと、足元では系統組織が保有する資産を中心に、バリューアップが図れると見込んだ築年経過物件のESG認証取得を支援しています。具体的には、JA三井リース、NJIA(農中JAML投資顧問)と連携しながら「JA共済埼玉ビル」で取組みを進めています。
ESGインテグレーションのイメージ
※1 投資判断に際し、投資先の財務情報のほか、ESG関連の取組みも踏まえて総合的に判断すること。
※2 GRESB評価とは、もともと「Global Real Estate Sustainability Benchmark」の略称で実物資産を対象とした環境・社会・ガバナンス(ESG)の取組状況を測るベンチマーク評価およびそれを運営する組織の名称。GRESBによるリアルエステイト評価は、不動産に直接投資する上場不動産会社、上場・私募の不動産ファンドのベンチマークおよび報告のグローバルスタンダードとなっています。