食と農林水産業のファーストコールバンクとして、
お客さまの課題解決に取り組み、新たな価値を共創
農林水産業を取り巻く環境は、農地・担い手の減少、生産資材価格の高止まり、緊迫化する国際情勢など様々な課題に直面しています。これらの課題を解決するためには、川上の農林水産業への支援だけでなく、生産に用いられる機械・資材の製造から、農林水産物の加工・流通・外食・小売・輸出・消費まで、食農バリューチェーン全体を見渡して取り組むことが必要です。
当金庫は、食農バリューチェーンの川上と川中・川下全ての領域に接点を持つ強みを活かして、農林水産業の発展と食品産業の発展を後押しすることで「強靭で持続的な食料システムの確立」に貢献することを目指しています。
具体的には、当金庫だからできる独自の出融資やDX化支援等を通じて、担い手経営体の経営規模の拡大や高度化を推進し、生産基盤の維持・強化に貢献してまいります。加えて、当金庫固有のネットワークを活用し、食と農林水産業に関係する業界全体での効率化や輸出支援等を通じて、食農バリューチェーンの強化・最適化に取り組んでまいります。

理事専務執行役員
食農法人営業統括責任者
食農法人営業本部統括役員
尾崎 太郎
食農ビジネスとは
食農ビジネスは、JA・JF・JForestグループの事業基盤と当金庫の法人営業基盤を軸に、当金庫が有する金融・非金融機能をフル活用して、食農バリューチェーンの川上から川中・川下まで広くソリューションを提供するビジネス。
食農バリューチェーン

食農ビジネスの全体像

- カントリーエレベーターや集出荷場など、生産者が共同で利用する乾燥・選別・保管・加工等の施設。当金庫としては、現在稼働している施設の多くで老朽化等の課題を抱えていると認識しており、農林水産業の発展を後押しする観点からも、設備更新や再編などの対応に向けた支援が必要と考えています。
2025年度の主な取組実績
農業所得向上への寄与
農業者の所得向上の実現に向けて、当金庫を含むJAバンクでは担い手コンサルティング等に取り組んでいます。コンサルティングでは担い手の経営課題を明らかにし、所得向上に資するソリューションを提案するとともに、提案後も課題解決に向けて、継続的な担い手へのサポートに取り組みました。なお、コンサルティング効果については「付加価値向上寄与額」※という指標で計測を行っています。
また、ITデジタルを活用したアドバイザリー機能の強化に向けて、経営の見える化の根幹をなす会計・生産管理等におけるサービス提供に向けた検討を進めてきました。
- 利益向上と適切な設備・人材投資の観点を踏まえて「付加価値額(営業利益+減価償却費+人件費)の向上」と定義。
JAバンクの担い手コンサルティングとは
本活動は、まずJAの信用事業部門(金融事業)またはJA信農連や当金庫が主体となって担い手の財務分析やヒアリングを実施し、定量・定性の両面から事業性評価を行い、そこで明らかになった担い手の各種経営課題に対してソリューションを提案するものです。
このソリューションについては、JAの信用事業部門のみならず、JAの営農経済事業部門などとも連携した提案を行っており、JAグループが持つ総合力を発揮して、金融にとどまらない幅広い提案を行う点が特徴です。また、ソリューションを提案した後も、課題解決に向けた取組進捗のフォローなど、継続的な担い手へのサポートに取り組んでいます。

食農バリューチェーン構築・強化に向けた金融仲介機能の発揮
当金庫およびアグリビジネス投資育成(株)は、農林水産業者の自己資本の充実や食農関連企業、食農分野のイノベーションを支える企業の成長支援を目的に、グループ全体で累計1,198億円の出資を実行しています。
また、2025年度には、農林水産業者の大規模化や共同利用施設の設備更新ニーズ等への積極対応を図る観点から、総額1,000億円の「農業・食料システム発展資金」(融資枠)を創設し対応を進めています。
このほか、生産資材価格の高止まり等、厳しい環境にある農林水産業者等に対し、適切な経営改善支援や資金対応に取り組みました。
農林中金グループによる成長資金供給額(出資)※

- 当金庫およびグループ会社のアグリビジネス投資育成(株)による、農林水産業者・食農関連企業・イノベーション企業への累計出資額。なお、2025年度に集計定義を一部変更したことに伴い、過年度実績が変更となっています。
農業・食料システム発展資金の概要
| 農林水産業者向け | 共同利用施設向け | |
|---|---|---|
| 融資対象先 | 大規模化等の成長を志向する農林水産業者 | 地域の農林水産業にとって必要不可欠な機能を果たす会員、団体、企業等 |
| 使途 | 設備資金・運転資金等 | 共同利用施設向け設備資金 |
| 融資条件 | 一般的な融資条件よりも、期間・金利を優遇 | |
| 融資枠 | 総額 1,000億円(※既存の融資枠との合算) | |
輸出拡大支援
ディストリビューター※とのコネクションが重要となる米国において、当金庫が橋渡し役となって、米国への和牛輸出プロジェクトをアレンジし、輸出拡大のほか、米国の現地レストラン等に対する和牛のブランド浸透と需要創出を支援しました。
今後も当金庫の海外ネットワークを活用し、JAグループとも連携した輸出促進に取り組んでまいります。
- 米国において卸や物流を担う業者のことを指します。

クレジットビジネスの実践
持続可能な食と農林水産業システムへの貢献に向けて、当金庫は国内における農林水産業由来に特化したカーボンクレジットの媒介業務を2023年度より開始しました。2025年度末までの累計で約17万t-CO₂※のクレジット媒介を実現しています。
また、このうち森林由来のクレジットについては、JForestグループと共同で創出・販売支援を目的としたプラットフォーム(FC-BASE)も立ち上げています。2024年3月の立上げ以来、本プラットフォームを通じた売買が成立しています。
- 長期売買契約に基づく見込みを含みます。
当金庫が販売支援したクレジット創出地

神奈川県箱根町・湯河原町の森林
森林由来クレジットのプラットフォーム


食農ビジネスのオープンイノベーション
JAグループ全国8団体が開設した(一社)AgVenture Lab(以下「アグラボ」)では、食・農・くらしに関わる社会課題を解決するためのオープンイノベーションの取組みを推進しており、当金庫はその運営支援を行うほか、食農ビジネスにおいてもアグラボとの緊密な連携を進めています。
2019年度から実施している「JAアクセラレーター」では、社会課題の解決に取り組むスタートアップ企業を支援してきました。採択された企業は半年間、JAグループ職員の伴走支援を受けながら、JAグループとの協業等による新たな価値創造・サービス提供に挑戦します。2025年度には第7期として応募数189件の中から9件を採択しました。

JAアクセラレーターの採択先(第7期)
JAアクセラレーターの採択数
| 第1期~第7期の累計 | |
|---|---|
| 応募総数 | 1,328 |
| 採択件数 | 61 |
足元の課題と2026年度の対応方向
足元の課題
- 農地・担い手の減少、生産資材価格の高止まりなどの諸課題に直面。持続可能な農林水産業の実現のためには、川上の支援だけではなく、老朽化したインフラ等の合理化や価格形成にかかる消費者への理解促進といった川中・川下を含めたバリューチェーン全体での課題解決が必要。
- そのために、農林水産業者や関連産業の生産性・付加価値向上の後押しに向け、より一層、系統組織グループが一体となった金融・非金融両面からのソリューション提供機能の発揮が必要。
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2026年度の対応方向
- 生産基盤の維持強化
- 農林水産業者に対しては、系統三段階で役割分担を行いながら、農林中金グループ独自の出融資メニュー(大規模法人向けや共同利用施設向けの専用資金)や、近代化資金の活用、担い手経営体向けコンサルティングを通じて、経営規模の拡大や高度化に取り組む。
- 食農バリューチェーンの強化・最適化
- 業界ごとに抱えている課題の解決に向けて、M&Aアドバイザリー機能を活用した事業再編や事業承継の支援、アグリテック・フードテック等のイノベーション企業への出資、産地振興・輸出支援等を行うことで食農バリューチェーン全体での強化・最適化に取り組む。




