リスクガバナンス向上を目指して
サステナブル・ファイナンスの実践にあたり、取り組むべき環境・社会課題の拡がりや重要性はますます大きくなっています。投融資先やプロジェクト関連の取引に対する投融資の判断に、環境・社会リスクの評価・検討が欠かせなくなります。
当金庫では、環境・社会リスク管理(ESRM)態勢のもと、投融資フロントにおける環境・社会リスクの評価・判断に加え、リスク管理部門による牽制機能や経営による意思決定が必要な場合のエスカレーションの枠組みを構築しています。今後、ESRM運用の高度化に段階的に取り組み、統合的リスク管理との一体的な運用を目指します。
ESRMの具体的な取組み
当金庫は、2019年、環境・社会課題解決に向けた基本方針として、「環境方針」・「人権方針」を制定しました。これらの方針に基づき、環境・社会に対して重大な負の影響を与える可能性が高いと認識されるテーマおよびセクターに関しては、プライオリティーに応じ適切なリスク管理を行っています。
環境・社会リスク管理(ESRM)
個別の投融資先やプロジェクト関連の取引に対する投融資の判断を行う際に、環境リスクと社会リスクを評価・検討することを目的として、ESRM態勢を構築しています。
ESRMのフレームワーク
投融資セクター方針
当金庫では、環境・社会に重大な負の影響を与える可能性がある事業への投融資における環境・社会配慮の取組方針を定めています。今後も、環境・社会課題への取組みをめぐる国内外の動向や当金庫を取り巻くステークホルダーからの期待・目線を踏まえ、必要に応じて方針の見直しに取り組みます。
投融資における環境・社会への配慮にかかる取組方針
リスク管理におけるESGインテグレーション
リスク管理部門は、当金庫の投融資における環境・社会リスク評価実施によるリスク管理機能に加え、フロント部門が取り組むESGインテグレーションを第2線の立場で支える役割を担います。
足元では、与信先の信用力評価にかかる内部格付制度において、一部セクターに属する先については環境・社会リスク要素を定性的な評価要素として考慮する等、信用リスク管理との一体的な運用を進めています。本取組みの対象セクターについては、外部環境を踏まえて見直し・拡大を検討していきます。
環境・社会リスク要素にかかる信用力評価への考慮範囲のイメージ
赤道原則(エクエーター原則)への取組み
赤道原則(エクエーター原則)は、金融機関が大規模な開発プロジェクトへ融資する際、当該プロジェクトが自然環境や地域社会に対して適切な配慮がなされているかを確認するための民間金融機関の枠組みであり、プロジェクトファイナンス分野において環境・社会リスクを特定、評価、管理する方法として広く適用されています。
赤道原則を採択した金融機関は、赤道原則を行内方針や手続に組み入れ、適切に管理・運営する体制を構築することが求められ、赤道原則の基準に適合しないプロジェクトに対しては融資を行いません。
当金庫は、世の中の環境・社会問題への意識の高まりや金融機関に対する社会的要請を踏まえ、より一層持続的な環境維持への配慮を実現する観点から、2017年に赤道原則を採択しました。
具体的には、投融資基本方針のもとに、赤道原則基本方針および赤道原則管理要領を制定のうえ、赤道原則の適合性を確認する専任者を配置し、プロジェクトのカテゴリーに応じて求められる環境・社会に対する配慮をお客さまに要請していきます。
赤道原則の適合性確認フロー
プロジェクトのカテゴリー定義
カテゴリー | 定義 |
---|---|
A |
環境・社会に対して重大な負の潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響が多様、回復不能、または前例がないプロジェクト |
B |
環境・社会に対して限定的な潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響の発生件数が少なく、概してその立地に限定され、多くの場合は回復可能であり、かつ緩和策によって容易に対処可能なプロジェクト |
C |
環境・社会に対しての負のリスク、または、影響が最小限、または全くないプロジェクト |
2023年度の赤道原則適用案件数(期間:2023年4月1日~2023年12月31日※)
※9か月間での集計は、赤道原則協会の要請で2024年から暦年集計となる経過措置によるもの
<プロジェクトファイナンス案件>
セクター | A | B | C |
---|---|---|---|
鉱山 |
0 |
0 |
0 |
インフラ |
2 |
0 |
0 |
石油・ガス |
0 |
0 |
0 |
電力 |
0 |
2 |
0 |
その他 |
0 |
0 |
0 |
合計 |
2 |
2 |
0 |
地域 | A | B | C |
---|---|---|---|
米州 |
0 |
0 |
0 |
欧州・中東・アフリカ |
2 |
2 |
0 |
アジア・オセアニア |
0 |
0 |
0 |
合計 |
2 |
2 |
0 |
指定国・非指定国 | A | B | C |
---|---|---|---|
指定国 |
0 |
2 |
0 |
非指定国 |
2 |
0 |
0 |
合計 |
2 |
2 |
0 |
独立した専門家のレビューの有無 | A | B | C |
---|---|---|---|
あり |
2 |
2 |
0 |
なし |
0 |
0 |
0 |
合計 |
2 |
2 |
0 |
<プロジェクト紐付きコーポレートローン案件>
セクター | A | B | C |
---|---|---|---|
鉱山 |
0 |
0 |
0 |
インフラ |
0 |
0 |
0 |
石油・ガス |
0 |
0 |
0 |
電力 |
0 |
0 |
0 |
その他 |
0 |
0 |
0 |
合計 |
0 |
0 |
0 |
地域 | A | B | C |
---|---|---|---|
米州 |
0 |
0 |
0 |
欧州・中東・アフリカ |
0 |
0 |
0 |
アジア・オセアニア |
0 |
0 |
0 |
合計 |
0 |
0 |
0 |
指定国・非指定国 | A | B | C |
---|---|---|---|
指定国 |
0 |
0 |
0 |
非指定国 |
0 |
0 |
0 |
合計 |
0 |
0 |
0 |
独立した専門家のレビューの有無 | A | B | C |
---|---|---|---|
あり |
0 |
0 |
0 |
なし |
0 |
0 |
0 |
合計 |
0 |
0 |
0 |
<プロジェクトファイナンスアドバイザリーサービスおよびブリッジローン案件>
実績なし。
<プロジェクト紐付きリファイナンス案件とプロジェクト紐付き買収ファイナンス案件>
実績なし。
環境・社会インシデント対応
投融資先における環境・社会インシデント情報※の定期的なモニタリングを通じて、環境・社会リスクに起因する評判リスク・信用リスク回避のための対応を行います。
※ 環境・社会に深刻な影響が懸念される企業行動・事業活動や関連する事象