自然関連のリスク評価とシナリオ分析
当金庫では、自然関連のリスクと機会を捉えるために、事業会社向け投融資ポートフォリオ全般の依存とインパクトの分析、および試行的なシナリオ分析を実施しました。
ポートフォリオの自然への依存とプレッシャーの全体像とリスク評価
ポートフォリオ全体の自然への依存とプレッシャーの関係性を整理するため、業種単位で投影したものが下記の図です。円の大きさは投融資額の大きさを示します。グラフより、当金庫の基盤である農林水産業に深く関連する生活必需品業種や投融資額が相対的に大きい資本財・サービスなどにおける依存とプレッシャーが比較的高いことを確認しました。
セクター別の自然へのインパクト
ENCOREのバリューチェーンを考慮した更新版のデータを用いて、生活必需品業種にかかるバリューチェーン分析を試行しました。その結果、生活必需品に関しては上流については農産物・食品への依存が大きく、下流については日用品・消費者サービスへの依存が大きいことがわかりました。またインパクトについて、上流は流通サービスについて比較的大きく、下流については依存同様日用品・消費者サービスが大きいことが確認できました。
出所:当金庫作成
投融資先のバリューチェーンを考慮した分析
バリューチェーンを考慮した自然へのインパクトの状況を把握するため、九州大学発のスタートアップaiESG社と協業し、ENCORE で導出した当金庫のマテリアルな投融資先セクターの一つである生活必需品セクターに着目し、さらに詳細な、日本の生活必需品セクターのサブセクターを中心として、サプライチェーン上の環境・社会インパクトにかかる分析を行いました。
今年度は、昨年度実施した5つのサブセクター(包装食品・肉、清涼飲料、蒸留酒・ワイン、農産物、醸造)以外を分析対象とすることで、食料品関連のサプライチェーンに関する理解の拡充を目指しました。また、一部の川上のサブセクターに加え、最も川下の小売や、川中の流通を中心にこれらのセクターの各種調達品にかかる、様々なサプライチェーンを対象として分析しています。
自然関連のシナリオ分析
昨年度は、気候と自然関連リスクの統合的な分析が可能なシナリオであるIPR Forecast Policy Scenario + Nature( FPS+Nature)を用いて、食農バリューチェーンにおける主要業種である食品・農業関連セクターに焦点を当てた分析を実施しました。結果、日本では、花粉媒介者の減少が農産物・サービスセクターにおけるリスク要因になり、北米では水リスクが高まることで、水を使用するセクターのリスクが高まることが見込まれるとの示唆が得られ、地域ごとの自然の状態の変化の差異により物理的リスクの程度が異なることが確認できました。
今年度は、気候関連のシナリオ分析で用いたNGFS の気候変動シナリオ(第四版)と、TNFD が「Guidance On Scenario Analysis」で提示する自然関連の世界観毎のナラティブ、およびFPS+Nature が想定する将来シナリオを解釈の上、それぞれを移行リスク、物理的リスクの程度に応じてプロットし、気候と自然にかかる将来シナリオの世界観の描写を整理しました。
出所:当金庫作成
気候変動が生物多様性に与えるインパクトの分析
当金庫の投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量(ファイナンスド・エミッション)情報を基点とした自然関連リスクの分析を行いました。気候変動が生物多様性に与える影響について、LCA(ライフサイクルアセスメント)の手法を活用しフットプリント指標(EINES指標、生物の絶滅リスクの指標)を試算しています。