気候変動(TCFD提言に基づく開示) ーリスク管理ー

気候変動関連リスクの管理

投融資において、気候変動を含む環境・社会にかかるリスクを管理する枠組みとして、投融資セクター方針の取組みを中心とする環境・社会リスク管理(ESRM)態勢を構築のうえ、その運用を行っています。

2019年には、環境・社会課題解決に向けた基本方針である「環境方針」・「人権方針」を制定しました。

また、投融資セクター方針の取組みにおいては、石炭火力発電、石炭採掘、パーム油、森林、石油・ガス、大規模農園、大規模水力発電等、気候変動を含む環境・社会への負の影響が懸念されるセクターについて、投融資における環境・社会配慮の取組方針を定めています。本方針に基づき、石炭火力発電向けの投融資は2040年までに残高ゼロとすることを目指しています。

大規模な開発プロジェクト案件については赤道原則に基づき環境・社会リスクの特定、評価を行っています。

石炭火力発電向け投融資の残高(将来見込み)

当金庫では、「投融資における環境・社会への配慮にかかる取組方針」に基づき、新規の石炭火力発電所への投融資は、災害等非常事態に対応する場合を除き、原則として行いません。石炭火力発電向け投融資については、2040年を目途に残高ゼロを目指します。

注:「投融資における環境・社会への配慮にかかる取組方針」に基づき、災害等非常事態に対応する場合を除く
注:2023年3月末時点の為替に基づく残高

リスクアペタイトフレームワークの概要

当金庫のリスクアペタイトフレームワーク(RAF)は、経営戦略・事業戦略、期待リターン(目標とするリターンの種類と量)およびリスクアペタイト(進んで引き受ける、あるいは許容するリスクの種類と量、および最適な経営資源)を明確化し、これらの一体運営により、「規律あるリスクテイクと、リスク・リターンの最適化につなげる経営管理の枠組み」です。RAFの運営により、取り巻く環境変化に適応し、限りある経営資源(事業管理費・要員等)を有効に配分し、経営の健全性をさらに高めていきます。

リスクアペタイトフレームワークの概要図

トップリスクへの反映

当金庫では、「リスクアペタイトステートメント」を策定し、RAF運営にかかる基本的事項の制定・文書化を行っています。経営計画の策定に際しては、リスクアペタイトステートメントに基づき、経営環境やリスク認識を踏まえたトップリスク(今後、特に留意すべきリスク事象)を選定し、想定する将来シナリオの分析を行っています。その結果を踏まえ、経営戦略・事業戦略の遂行に伴う期待リターンとリスクアペタイトを明確化し、経営計画を策定しています。期待リターンおよびリスクアペタイトについては、その取扱方針を明確化するとともに、それぞれ重要目標指標およびリスクアペタイト指標を設定しています。期中は、経営環境・リスク認識などを更新しながら、経営戦略・事業戦略、期待リターンおよびリスクアペタイトの状況などをモニタリングし、必要に応じてこれらの見直しを行うなど、経営計画のPDCAサイクルと一体で運営しています。

また、当金庫ではトップリスクとして「気候変動・生物多様性などサステナビリティ関連課題への対応」を選定しています。気候変動による脱炭素経済への移行に伴う金庫ポートフォリオの座礁資産化や風水害等、自然資本・生物多様性の劣化は、当金庫やその基盤である農林水産業や地域の持続可能性にも甚大な影響を及ぼす可能性がある重要なリスクと認識しています。

トップリスク選定を通じて、当該リスク認識に対する組織内での目線を揃え、リスク管理体制の高度化を目指しています。また経営層を交えて議論することで、世の中の潮流も捉えつつ、当金庫の存在意義や中長期目標を踏まえた実践に向けて取り組んでいます。

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