経営管理

当金庫の経営体制

当金庫は、農林水産業者の協同組織の全国金融機関であると同時に、国内外での巨額な資金運用を通じて金融・資本市場に大きな影響を及ぼす機関投資家としての側面をあわせ有しています。これを受けて、当金庫の意思決定は、「総代会」の決定事項を遵守しつつ、農林中央金庫法に定められた「経営管理委員会」と「理事会」が協同組織の内外の諸情勢を踏まえ、分担・連携する体制としています。農林中央金庫の経営体制

リスクアペタイトフレームワーク

金融機関を取り巻く環境は大きく変化しています。当金庫が、今後も高い健全性を維持し、ステークホルダーの期待に応え、基本的役割を果たし続けていくためには、先を見据えた十分なリスク認識と、その適切なコントロールおよび規律あるリスクテイクが従来にも増して重要となってきています。
当金庫では、これらを実践するための、経営管理の枠組みとして、リスクアペタイトフレームワーク(RAF)を導入し、重点戦略・取組事項に掲げた目標の達成を目指すとともに、経営管理の枠組みを支える健全なリスクカルチャーの醸成・定着化に取り組んでいます。

当金庫のRAFは、経営戦略・事業戦略、期待リターン(目標とするリターンの種類と量)およびリスクアペタイト(進んで引き受ける、あるいは許容するリスクの種類と量、および最適な経営資源)を明確化し、これらの一体運営により、「規律あるリスクテイクと、リスク・リターンの最適化につなげる経営管理の枠組み」です。RAFの運営により、取り巻く環境変化に適応しつつ、最適なリスク・リターンのバランスを目指すことで、当金庫の健全性を更に高めていきます。リスクアペタイトフレームワークの概要図

内部統制強化

当金庫は、農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関としての基本的使命と社会的責任を果たしていくために、経営管理態勢の構築を経営の最重要課題と位置付けるとともに、企業倫理および法令等の遵守、適切なリスク管理その他業務執行の適正性を確保するための内部統制に関する基本方針を制定しています。内部統制強化への取組み

リスクマネジメント

当金庫は、全社的なリスク管理を適切に実施するため、認識すべきリスクの種類や管理体制・手法などリスク管理の基本的な体系を定めた「リスクマネジメント基本方針」を策定しています。この基本方針に基づき、農林水産業と食にかかわる金融機関として当金庫の優位性や存在感を最大限発揮し十分な役割を果たすとともに、系統信用事業基盤の一層の強化を図りつつ、これまでの国際分散投資をさらに進化させることで、会員に対して安定還元を実現することを経営上の目標として、リスク管理態勢の不断の高度化に取り組んでいます。リスクマネジメントの枠組み

農林中央金庫ガバナンス基本方針

第1章 総則

(目的)

第1条 農林中央金庫ガバナンス基本方針(以下「本方針」という。)は、農林中央金庫(以下「当金庫」という。)のガバナンスにかかる基本的な考え方や枠組みを定め、経営管理委員、理事、執行役員および監事の行動指針とするものである。

(当金庫のガバナンスにかかる基本的考え方)

第2条 当金庫は、農林中央金庫法(以下「金庫法」という。)を根拠に設立された組織であり、金庫法第1条においてその目的を「農業協同組合、森林組合、漁業協同組合その他の農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関としてこれらの協同組織のために金融の円滑を図ることにより、農林水産業の発展に寄与し、もって国民経済の発展に資すること」と定めている。当金庫ではこれを経営の理念とし、具体的内容を倫理憲章や役職員の行動規範として定めるとともに、これを実現するためのガバナンス態勢を構築する。

第2章 会員等ステークホルダーとの関係

(会員との協働)

第3条 当金庫は、協同組織金融機関であり、出資者である会員は出資口数の多寡によらず議決権が平等に確保される。かかる協同組織金融機関としての性質をふまえた、会員との対話を重視し丁寧な議論を積み重ねる組織文化を役職員が理解・共有し、会員との適切な協働を確保する。

(会員との対話)

第4条 当金庫は、会員との対話にあたり、各地区担当の理事または執行役員が本店および現地拠点と密に連携し、当金庫の経営理念・経営戦略・経営計画等に対する理解をいただくよう適切に対応するものとする。また、都道府県および定款に定める選出区域ごとの会員の互選によって選出された総代に対する説明会・懇談会等の枠組みを整備し、その内容について定期的に理事会に報告する。

(関連当事者との取引)

第5条 当金庫は、経営管理委員および理事と当金庫の取引や、当金庫と当金庫グループ会社との取引により、当金庫経営の健全性が損なわれることを防止し、出資者である会員の利益を害することがないよう、適切な手続を定めて管理する。

(会員以外のステークホルダーとの関係)

第6条 当金庫は、金庫法第1条に掲げる目的が経営の理念であることを確認するとともに、当該目的を達成するには、会員のみならず、顧客、職員、地域社会等の様々なステークホルダーとの適切かつ円滑な関係の構築が重要であることを認識し、その構築に努め、事業活動を遂行する。当金庫はかかる事業活動を遂行するにあたり、中期経営計画(中期ビジョン)を策定のうえ、全ての役職員の行動の指針として倫理憲章を制定する。

第3章 適切な情報開示と透明性の確保

(情報開示のあり方)

第7条 当金庫は、ステークホルダーから信頼され正しく評価されるため、財務情報やリスク管理等の定量情報、事業戦略や経営管理委員、理事および監事の主な兼職状況等の定性情報について、適切な開示と透明性の確保を行う。

  • 当金庫は、情報開示を行うにあたり、法令等による開示のほかに自主的に未公開の経営情報の開示を行う際の適切性の確保にかかる基準として「自主開示規定」を制定する。

(会計監査人による監査)

第8条 当金庫は、会計監査人の独立性を確保するよう努め、法令等が求める会計監査人の責務を認識し、適正な監査の確保に向けて適切な対応を行う。

第4章 当金庫の機関構成とその役割

(当金庫の機関構成)

第9条 当金庫は、金庫法に基づき、経営管理委員会、理事会、監事会を設置する。

(経営管理委員会の役割)

第10条 経営管理委員会は、金庫法第28条に基づき、理事の選任等を行うほか、当金庫の業務の基本方針の決定、および当金庫の業務執行のうち農林水産業者の協同組織にかかる重要事項等、定款に定めるものを決定する。

(理事会の役割)

第11条 理事会は、金庫法第27条に基づき、当金庫の業務執行を決し、理事の職務の執行を監督する。なお、法令・定款において経営管理委員会決定事項とされるもの以外の業務執行の一切について、理事会は決定できる機関であるものの、業務執行にかかる意思決定の迅速性等の観点から、法令・定款および理事会規則等の内部規則において理事会決定事項とされるもの以外にかかる業務執行の決定については、適切に理事および執行役員に委任する。

(監事会の役割)

第12条 監事会は、金庫法第29条に基づき、監査報告の作成、常勤監事の選定および解職、監査の方針、当金庫の業務および財産の状況の調査の方法その他の監事の職務の執行に関する事項の決定を行う。

第5章 経営管理委員、理事および執行役員、および監事の責務

(経営管理委員の責務)

第13条 経営管理委員は、総代会により選任され主として理事の監督を行う経営の受託者として、その職務の執行について善管注意義務・忠実義務を負い、当金庫が金庫法第1条に掲げる目的の達成に貢献する。

  • 経営管理委員は、当金庫の業務の基本方針の決定および当金庫の業務執行のうち農林水産業者の協同組織にかかる重要事項にかかる経営判断において、合理的な情報収集に基づいた適時かつ適切な意思決定を行う。
  • 経営管理委員は、理事からの報告・提案に関して十分に検討するとともに、必要に応じて説明の要請や意見の表明を行い、議論を行う。

(経営管理委員の独立的役割)

第14条 経営管理委員(金庫理事兼務者を除く)は、会員たる法人の役員および農林水産業者から選出された者、および金融に関して高い識見を持つ者であり、業務執行を主として担う理事に対する独立性が高く、その独立した客観的な立場から理事を監督し、業務執行陣に対し自らの知見に基づき適切な助言・支援を行い、出資者およびその他ステークホルダーの意見を経営に適切に反映していくことが期待される。

(理事および執行役員の責務)

第15条 理事は、経営管理委員会により選任されかつ総代会により承認された主として業務を執行する経営の受託者として、執行役員は、理事会により選任され、理事会から委託された職務の執行者として、その職務の執行について善管注意義務・忠実義務を負い、当金庫が金庫法第1条に掲げる目的の達成に貢献する。

  • 系統信用事業の全国機関および金融システムの一員としての社会的責任を果たしていく金庫の役割をふまえ、理事および執行役員はその業務を執行し、銀行等の金融機関の常務に従事する取締役と同様に、金融業務に関する高度な知識・経験や能力を具備しつつ、合理的な情報収集に基づいた適時かつ適切な意思決定を行う。

(監事の責務)

第16条 監事は、総代会により選任され、独立した客観的な立場において理事および経営管理委員の職務の執行を監査し、その職務の執行について善管注意義務を負う。また、監事会の構成員として、監事会で決する事項として金庫法で定める監査の方針・業務および財産の状況の調査の方法・その他監事の職務の執行に関する事項について適切に職務を遂行する。

第6章 経営管理委員会、理事会、監事会の構成等

(経営管理委員、理事会、監事会の定数等)

第17条 当金庫は、役員として、理事20人以内、経営管理委員20人以内および監事5人以内を置く。

  • 経営管理委員は、会員たる法人の役員、農林水産業者、金融に関して高い識見を有する者(金庫理事兼務者を含む)をもって充てる。
  • 理事は、当金庫の業務を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識および経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者をもって充てる。
  • 監事は、理事および経営管理委員の職務の執行の監査を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識および経験を有し、かつ十分な社会的信用を有する者をもって充てることとし、また、員外監事を金庫法に基づき充てる。
  • 理事および常勤の監事は、報酬を得て他の職務に従事し、または事業を営んではならない。

(経営管理委員、理事および執行役員、監事の選任)

第18条 経営管理委員および監事は、役員推薦委員会の推薦に基づき、総代会において選任する。

  • 理事は、役員推薦委員会の推薦に基づき、経営管理委員会が選任する。選任された理事は、総代会の承認を経たうえで就任するものとする。執行役員は、理事会が選任する。
  • 役員推薦委員会は、前掲の経営管理委員、理事、監事の責務に記載される内容を果たすにふさわしいと認められる資質・能力を備えた者を候補者として推薦する。
  • 会員たる法人の役員および農林水産業者としての経営管理委員の選任にあたっては、会員等の意思が当金庫の事業運営に反映され、経営管理委員の役割が十分に発揮されるよう考慮しつつ行うものとする。また金融に関して高い識見を有する者としての経営管理委員の選任にあたっては、当金庫・系統との関係や金融業務に関する学識・経験等を勘案するとともに、金融業務にかかる業務執行全般を決定する理事会との円滑な連携を考慮しつつ行うものとする。
  • 理事および執行役員の選任にあたっては、系統信用事業・投融資・リスク管理・システム等の金庫業務の多様性をふまえ、これまでの業務経験等も鑑みた選考を行う。
  • 監事の選任にあたっては、当金庫・系統との関係や金融業務に関する学識・経験等を勘案した選考を行う。
  • 役員の選任にあたっては、経営管理委員会、理事会および監事会各々におけるバランスや多様性をふまえた選考を行うこととし、その他の必要な事項は、総代会において定めた「役員選任規則」において定める。

(経営管理委員、理事、監事、執行役員の任期)

第19条 役員の任期は、就任後3年以内の最終の事業年度に関する通常総代会の終結の時までとする。ただし、補欠の役員の任期は前任者の残任期間とし、増員で就任した役員の任期は現任の役員の残任期間とする。

  • 役員の数が、その定数を欠くに至った場合においては、任期の満了または辞任によって退任した役員は、新たに選任された役員が就任するまでなお役員としての権利義務を有する。
  • 執行役員の任期は、就任した事業年度の年度末までとする。

第7章 経営管理委員会、理事会および監事会の運営

(経営管理委員会、理事会および監事会の決議)

第20条 経営管理委員会の決議は、法令および定款に別段の定めがある場合を除き、経営管理委員の過半数が出席し、その出席した経営管理委員の過半数をもって行う。

  • 理事会の決議は、法令および定款に別段の定めがある場合を除き、理事の過半数が出席し、その出席した理事の過半数をもって行う。
  • 監事会の決議は、法令および定款に別段の定めがある場合を除き、監事の過半数をもって行う。

(経営管理委員会議長および理事会議長の要件)

第21条 経営管理委員会議長は、経営管理委員会会長がこれにあたる。

  • 理事会議長は、業務執行の最高責任者である理事長がこれにあたる。
  • 監事会議長は、監事のうち1名がこれにあたる。

(事務局体制)

第22条 当金庫は、経営管理委員、理事および監事がその機能を十分果たすことを可能とするため、就任時および就任後も継続的にその役割・責務にかかる理解の浸透、必要な知識の習得・更新のための機会を提供する。また、経営管理委員、理事および監事を補佐するとともに十分な情報を提供するため、各経営管理委員、理事および監事との連絡・調整にあたる事務局を設置する。

(経営管理委員、理事および執行役員、監事への情報提供)

第23条 理事は、経営管理委員に対し、経営管理委員の職務執行に関する十分な情報を提供するとともに、経営管理委員会の議題および議案書を原則として経営管理委員会の前に配布し、経営管理委員が予め内容を理解する機会を確保する。また、経営管理委員会の議題以外にも必要とされる情報が提供されるよう、就任時を含め継続的に当金庫の業務内容や経営環境に関する説明等を実施する。

  • 当金庫の執行役員および職員は、理事に対し、理事の職務執行に関する十分な情報を提供するとともに、理事会の議題および議案書を原則として理事会の前に配布し、理事が予め内容を理解する機会を確保する。また、理事会の議題以外にも必要とされる情報が提供されるよう必要な説明等を実施する。
  • 当金庫の職員は、諸規定の定めに従い、執行役員に対し、執行役員の職務執行に関する十分な情報を提供するとともに、必要な説明等を実施する。
  • 経営管理委員、理事、執行役員および職員は、監事に対し、監事の職務執行に関する十分な情報を提供するとともに、経営管理委員会、理事会の議題および議案書を原則として同会議の前に配布し、監事が予め内容を理解する機会を確保する。また、経営管理委員会、理事会の議題以外にも必要とされる情報が提供されるよう必要な説明等を実施する。

(経営管理委員会および理事会の実効性の維持・向上)

第24条 経営管理委員会、理事会は、定期的な評価の実施等を通じ、その実効性の維持・向上に努めるものとする。

第8章 委員会等

(委員会等の設置)

第25条 当金庫は、経営管理委員候補者・理事候補者・監事候補者の推薦を行う「役員推薦委員会」を定款の定めにより設置し、役員報酬・退職慰労金に関する事項の審議を行う「役員報酬審議委員会」を経営管理委員会の諮問機関として、経営管理委員会の決定により設置する。

  • 当金庫は、農協系統信用事業の再編強化に必要な指導業務に関する事項を審議する「JAバンク中央本部」、および漁協系統信用事業の再編強化に必要な指導業務に関する事項を審議する「JFマリンバンク中央本部」を定款の定めにより設置する。
  • 当金庫は、金庫・系統を取り巻く課題等に対して外部の有識者から幅広く助言を受け、経営へと反映させることを目的に、「アドバイザリー・ボード」を理事会の諮問機関として、理事会の決定により設置する。

(役員推薦委員会)

第26条 役員推薦委員会は、当金庫の経営管理委員・理事・監事候補者の選定に関する事項を審議し、経営管理委員会に対して推薦を行う。

  • 役員推薦委員会は定款の定めに基づき選出された委員17名(系統組織の代表者、金融に関して高い識見を有する者)をもって構成され、その議長は、出席した推薦委員の互選によって定める。
  • 経営管理委員および監事の選任は、役員推薦委員会の推薦に基づいて、総代会の選任の決議によって行う。また、理事の選任は、役員推薦委員会の推薦に基づいて、経営管理委員会の選任の決議によって行い、総代会の承認を経たうえで就任する。

(役員報酬審議委員会)

第27条 役員報酬審議委員会は、当金庫の役員報酬水準・報酬総額や退職慰労金の支給対象者・支給基準等について審議する。

  • 役員報酬審議委員会は、金融機関の処遇実態および金庫業務に精通した学識経験者、系統組織の代表者、農林中央金庫代表理事理事長、の中から、経営管理委員会が委嘱した委員7名以内をもって構成され、その議長は、経営管理委員会会長が学識経験者である委員の中から指名する。
  • 役員報酬審議委員会の審議結果をふまえ、経営管理委員会において、総代会に対する役員報酬総額や退職慰労金贈呈に関する議案提出を決定し、総代会において同議案が審議・決定される。

(JAバンク中央本部)

第28条 JAバンク中央本部は、農協系統信用事業の再編強化に必要な指導業務に関する事項について審議する。

  • JAバンク中央本部委員は、経営管理委員のうち当金庫の会員たる農業団体の役員である者および経営管理委員会の委嘱する者をもって充てる。
  • JAバンク中央本部の議長は、JAバンク中央本部委員長がこれにあたる。

(JFマリンバンク中央本部)

第29条 JFマリンバンク中央本部は、漁協系統信用事業の再編強化に必要な指導業務に関する事項について審議する。

  • JFマリンバンク中央本部委員は、経営管理委員のうち当金庫の会員たる水産団体の役員である者および経営管理委員会の委嘱する者をもって充てる。
  • JFマリンバンク中央本部の議長は、JFマリンバンク中央本部委員長がこれにあたる。

(アドバイザリー・ボード)

第30条 アドバイザリー・ボードは、金庫・系統を取り巻く課題等に対して果たしていくべき役割の方向性・施策の妥当性等にかかる理事会からの諮問事項について協議し、理事会への助言を行う。

  • アドバイザリー・ボードは、理事会が委嘱した委員をもって構成する。

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