第1号 データ 農業融資

JAバンク全体で農業関連融資シェアは6割程度
農業法人へのアプローチ強化などで融資残高は増加に転じる

特集1・2では、農業法人の成長を支えるJAグループの融資について取り上げました。農業融資の充実は、日本の農業の発展を実現していく上で重要な要素といえます。

現在、日本全体での農業関連融資は約4.2兆円あり、ここ数年はほぼ横ばいで推移しています。農業融資の総額を金融機関別のシェアで比較すると、JAバンク(JA・信連・農林中金)は56%を占めています(図A)。さらに公的融資を除いた民間の農業融資に絞って内訳を見ると、JAバンクの融資割合は73%と、ほぼ3/4に達しています(図B)。

  • JAバンク(プロパー)のうち、農林中央金庫の貸出金残高からは、信用事業を行う系統団体に対する日銀成長基盤強化支援資金等の制度資金の原資資金を除いています。
  • 国内で農業融資にかかる統一的な定義はないため、各業態の実態に近いと思われる融資残高を合算しています。
図A 農業関連融資シェア(公的融資含む) 図B 農業関連融資シェア(JAバンク・国内銀行)

近年、JAバンクでは農業法人へのアプローチを強化しています。全国の農業法人の中で、産業として農業を担う法人、集約の核となる法人、成長が見込まれる法人など約10,000社をリストアップ。JA・信連・農林中金が一体となって徹底した訪問活動を実施し、資金調達のほか、生産規模拡大や多角化、販路拡大、経営管理の高度化、事業承継といった、さまざまなニーズや経営課題に対応しています。

こうした取り組みが評価され、農業融資や出資などの金融取引が実現した農業法人数は年々増加しており、農業融資新規実行額も大きく伸長しました(図C)。

図C JAバンクの農業融資新規実行額と取引者数の推移

農業経営体数の減少など農業を取り巻く環境が変化する中、個人農家から大規模農業法人まで、幅広いニーズにJAバンク全体できめ細かに対応してきた結果、JAバンクの農業関連融資残高は2017年3月末に増加に転じました。融資シェアについても低下幅は縮小しており、底打ちから反転を目指して、取り組みをいっそう進めています(図D)。

図D JAバンクの農業関連融資残高とシェアの推移

JAバンクによる積極的なアプローチは、農業法人を支える融資の拡大という実を結び始めています。この取り組みを緩めることなく、農業法人のニーズにしっかりと向き合うことで成長を後押ししていきます。

JAとは

JAとは、相互扶助の精神のもとに農家の営農と生活を守り高め、よりよい社会を築くことを目的に組織された協同組合です。この目的のために、JAは営農や生活の指導をするほか、生産資材・生活資材の共同購入や農畜産物の共同販売、貯金の受け入れ、農業生産資金や生活資金の貸し付け、農業生産や生活に必要な共同利用施設の設置、あるいは万一の場合に備える共済等の事業や活動を行っています。

信連とは

JA系統信用事業の都道府県段階の連合会組織です。JAの事業運営をサポートする県域機能を発揮するとともに、地域金融機関としてJAと連携して金融サービスを提供することにより、JAと一体となって地域の皆さまに金融サービスを提供しています。

農林中央金庫とは

農業協同組合(JA)、漁業協同組合(JF)、森林組合(森組)等の出資による協同組織の全国金融機関です。協同組織のために金融の円滑化を図ることにより、農林水産業や国民経済の発展に貢献することを目的としています。

JAバンクは全国に民間最大級の店舗網を展開しているJAバンク会員(JA・信連・農林中金)で構成するグループの名称です。

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