農業における環境負荷軽減の取組み

農業分野における環境配慮の取組み

世界の温室効果ガス排出量のうち、農業・林業・その他土地利用に由来する排出量は約4分の1を占めると言われています。また、台風・洪水・高温などの自然災害が年々増加し、農作物への被害は深刻となっています。当金庫は農林水産業を基盤とする金融機関として、これらの課題解決に率先して貢献していきます。

農業・食品産業技術総合研究機構との連携

グローバルでは、農業は高炭素排出セクターと評価されています。一方で、農業生産における脱炭素技術・手法は限られ、また、農業のGHG(温室効果ガス)算定において、脱炭素化の取組みを適切に反映する仕組みが、いまだ構築されていません。
当課題の対応として、当金庫は農業・食品産業技術総合研究機構と連携し、農業生産者におけるGHG削減を促進・支援する独自の取組み(MABIプロジェクト)を開始しました。
この連携により、脱炭素化の取組みを適切に反映する排出量測定基準を策定するほか、 GHG削減の技術を普及するとともに、農業法人に対しても脱炭素経営支援およびGHG計測等を実施し、農業の環境課題解決に貢献していきます。

Measurements of GHG in Agriculture and Better Implementation

お客さまのGHG計測にかかる支援

脱炭素社会の実現に向けて、気候変動に関する情報開示が求められています。企業は自社のみならずサプライチェーン全体のGHG排出量の計測・削減への対応が求められています。
当金庫は、GHG排出量計測およびCDP回答への支援等のコンサルティング業務を行う企業と連携し、お客さまの脱炭素化に向けたソリューションを提供し、環境・社会課題の解決に貢献していきます。

トピック

農業法人のGHG排出量削減を金融・非金融面から支援

株式会社鈴生(以下、当社)は、2008年の創業当初から慣行農法対比で化学肥料施肥量を9割、農薬散布量を5割削減した農業を行っています。大企業を中心にGHG削減の取組み等が相当程度進捗している中、当社は農業分野においても環境負荷低減に資する取組みを一層進めていくことを目指しており、当金庫は、GHG排出量計測やコンサルティングを行うアスエネ株式会社を当社に紹介し、GHG排出量の見える化を支援しました。
また、GHG排出量の削減目標(Scope1~2)も設定し、その目標をサステナブル・パフォーマンス・ターゲット(STPs)とするサステナビリティ・リンク・ローンの契約を2022年12月に当社と締結しました。今後も脱炭素に資する技術の紹介等により、金融・非金融両面から環境に配慮した農業を支援していきます。

当社圃場

農業を通じたCO₂吸収への挑戦

農林水産業には環境に負荷を与えている側面がある一方で、CO₂吸収機能を通じて環境に貢献できる点にも着目されています。農業においては、土壌によるCO₂吸収機能の発揮と、それによる環境価値をクレジットとして販売することで、環境への貢献とともに農業者所得の増加にもつなげていくことが可能です。

トピック

高機能バイオ炭による環境負荷軽減の取組み

当金庫前橋支店ではJAと連携し、 2023年6月から群馬県内で、もみ殻や鶏ふんなど農業で発生する廃棄物を炭化させた「バイオ炭」の試験的な散布を開始しています。大学発のスタートアップ企業が開発した高機能バイオ炭で、一般的なバイオ炭と比べ、化学肥料の投入量を減らしつつ、収穫増が期待できます。また、バイオ炭によるCO₂削減量を国が認証する「J-クレジット」として販売できれば、農家はさらに収入増を期待できます。今後、試験結果を踏まえて、同県内での本格導入に向けて検討していきます。

バイオ炭:バイオマス(生物由来資源)を炭化したもの。もみ殻などの農業廃棄物は焼却処理で灰にしたり、微生物の活動などで分解・腐敗したりするとCO₂を空気中に排出してしまう。加熱して炭化することで分解されにくくし、CO₂排出を抑制する。もともと農地の水はけをよくするなど、土壌改良資材として使われていた。

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