中期ビジョン

中期ビジョン

1 中期ビジョン(Nochu Vision 2030~未来を見据え、変化に挑む~)について

 中期ビジョンについては、「2030年のありたい姿」を経営の「羅針盤」として位置づけ、以下のとおり定めました。当金庫グループを取り巻く環境の変化に対し、これら5つのありたい姿に向かって進んでいくことが私たちのパーパス実現・発揮につながると考えております。

2 「2030年のありたい姿」の考え方について

 気候変動や生物多様性の喪失、自然の劣化といった人や生き物、そして地球の「いのち」に直結する課題の解決は緊急度を増しております。足元では、ネットゼロへ向け官民をあげた取組みが加速していることに加え、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言の公表など、生物多様性の損失を回復に反転させるネイチャーポジティブを実現するための機運も急拡大しております。このような動きは2030年に向けて加速していくと考えております。また、これらの課題の同時解決を実現するうえで、循環経済の実現に向けた視点も欠かせないものになると考えております。
 農林水産業に立脚し、グローバルに投融資を行う当金庫グループは、この地球と地域が直面する課題に、役職員が一体となって取り組み、協同組織と金融の力によるポジティブインパクト(※)の創出を通じて、持続可能な環境・社会・経済の実現に取り組んでまいります。

(※)事業活動を通じて、環境・社会・経済へ与える良い効果

 人口減少・少子高齢化が進み、農林水産業の担い手は、法人経営体へのシフトが進んでおります。2030年に向けては、スマートアグリ市場の進展に伴い、ロボットトラクタ、ドローン等による労働代替等、“食農×デジタル”の活用が、一層加速していくと考えております。また、食料安全保障の基礎となる国内生産基盤と循環型農業の構築に対する意識もより一層高まっていくと考えております。
 そのようななか、当金庫グループは、『農林水産業者所得の増加』を大きなゴールとして考えつつ、ITデジタルを活用したアドバイザリー機能の提供といったデータビジネスの展開、既存のバリューチェーンに捉われないグローカルなバリューチェーンの構築等に取り組み、農林水産業者や系統団体の持続的な発展を実現してまいります。

 都市部への人口移転が加速するなか、地域経済・インフラの担い手として、総合事業を営むJA・JFの社会的な価値および外部からの期待は増加しております。2030年に向けては、デジタルサービスの急速な進展により非対面金融チャネルが拡大していく一方で、対面かつ専門性の高いアドバイス・相談機能の提供が一層求められていくものと考えております。
 デジタルを利用した幅広い顧客層へのアプローチと実店舗での専門性の高いサービスの両方が不可欠との認識のもと、システム等の充実化や営業支援機能の活用、非対面チャネルのUI(ユーザーインターフェース)・UX(ユーザーエクスペリエンス)向上等に取り組み、デジタルとリアルの最適融合を図り、JA・JFが更なる金融仲介機能、総合事業体としての強みを発揮し、組合員・利用者の皆さまに感動いただける価値を創造し続けてまいります。

 金融業界を取り巻く環境は、グレートモデレーション(低インフレ・低金利・低ボラティリティ)の終焉、金利のある世界の復活、政策調整の頻度上昇などの大きな変化が生じております。2030年に向けては、異業種からの金融業への参入増加やデジタルテクノロジーの発展、M&A・業務提携の加速化等により、金融ビジネスの構造的かつ大幅な変化がより一層進んでいくものと考えております。
 このように環境が大きく変化するなかでも、当金庫グループが一体となって変化の激しい市場環境や顧客・取引先ニーズに柔軟に対応し、投融資ポートフォリオの見直しや新たな領域・分野への挑戦により持続的な財務・収益基盤を構築・維持することで、会員からの安定的な収益・機能還元に関する期待に応えてまいります。

 ITデジタルの急速な発展や、消費者の購買行動変化など、非連続な変化が続いており、この規模・スピードは更に増していくことが見込まれます。こうした非連続な環境変化への対応や企業価値を長期的に高める主体として、人材を資本と捉えその価値を最大限引き出す人的資本経営の必要性も一層高まっているものと考えております。
 そのようななか、当金庫グループは、多様な思考を持った人材群による専門性の向上、ITデジタル・データ利活用の浸透を通じた新たなビジネス価値の創造と生産性向上、変化にチャレンジする柔軟で強靭な組織を実現してまいります。

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