地域活性化に向けた取組み

地域の課題解決に向けた取組み

全国の各地域が、生産人口の減少・高齢化や、コロナ禍の影響に直面しています。第29回JA全国大会では、全国のJAが取り組むポイントとして「持続可能な農業・地域共生の未来づくり」「地域共生社会の実現に向けて、多様な関係者との連携を強化し、関係人口の創出や健康増進活動の強化等により地域の活性化に取り組みます」と決議されています。

この方針を踏まえつつ、JAバンクでは、農業やくらしへの金融サービスの提供に加え、地域の課題解決や地域活性化に向けて、JAバンクならではの金融仲介機能を発揮していくことを目指しています。
当金庫は各地域の実情・ニーズに寄り添うJAの創意工夫にあふれた取組みを後押ししています。

トピック

地域関係者と連携した、創意工夫ある地位活性化に向けた取組み
~観葉”と“観光”で活気あふれる地域~

JAいぶすき(以下、当JA)は薩摩半島の最南端に位置し、1,000カ所もの泉源や砂蒸し風呂がある温泉地です。温暖な気候や温泉熱を活かし、観葉植物の栽培も盛んで、全国で唯一の観葉植物専門の部会があります。
指宿らしい南国気分を味わえる雰囲気づくりを観葉植物で後押しするため、観葉植物が地域のイベントや市内の宿泊施設にも飾られ、観葉のまちとしてのイメージ定着と認知度向上を図り、地域を盛り上げています。
 産地のブランド化と観光で地域の魅力を高めようと、当JAや県と連携して、「観葉のまち指宿協議会」を設立し、「みどりに恋を。観葉のまち指宿」をキャッチコピーに認知度の向上に取り組んでいます。
この取組みをさらに活性化させ持続的なものとするため、2022年12月に当JAと包括連携協定を締結。当JAでは、今後も行政や部会とタッグを組みながら、観葉と観光をキーワードに元気な地域のイメージを発信していきます。

トピック

「全国JAスマホ教室」で全国津々浦々での情報格差解消を目指す

新型コロナウイルス感染症のまん延防止を契機として「つながり」の概念そのものが大きく変化していくなか、くらしのさまざまな分野でデジタルサービスの重要さ、存在感が急拡大しています。スマートフォンの活用は、既に個々人の生活における重要なインフラの一つとなっています。
全国どこでも変わりない生活の利便性の維持や、遠隔地に居住する親類・友人等とのコミュニケーション等、今日の社会における「情報格差対策」の重要性は急拡大しています。
JAグループでは、地域のみなさまのご要望におこたえする「全国JAスマホ教室」を2021年7月より全国的に提供し、2023年3月末時点で累計約5,000回開催、延べ約40,000名に参加いただきました。今後とも、デジタルサービスを活用した新たな体験の場を提供し、情報格差の解消に向けた取組みを進めていきます。

地域の農林水産業者を後押しする、農林水産業みらい基金

農林水産業みらい基金は、JA(農協)、JF(漁協)、JForest(森林組合)グループの一員である当金庫が200億円の基金拠出を行い、2014年に設立されました。農林水産業の「持続的発展を支える担い手」と「収益基盤強化に向けた取組み」、農林水産業を軸にした「地域活性化に向けた取組み」の支援を目的としています。

農林水産業みらい基金 助成先

農林水産業みらい基金 助成対象事業件数・助成金額

食農教育活動

全国小学校の5年生を中心とする高学年を対象に食農教育・環境教育・金融経済教育をテーマとした冊子を、特別養護支援学校向けのユニバーサルデザイン版とあわせて、毎年配布しています。2022年度は、「食品ロス」などのSDGsに関連するテーマを新たに追加したうえで、全国の小学校(約2万校)に約130万部を無償配布しました。

「農業とわたしたちのくらし」小学校高学年版(左)、ユニバーサルデザイン版(右)

次世代の農業経営者育成

日本農業経営大学校は、次世代の農業経営者および地域農業におけるリーダー育成という目的のもと、当金庫をメインスポンサーに、会員企業の応援を得て、2013年に開校し、これまでに119名の卒業生を輩出してきました。
2023年4月に開校10周年の節目を迎え、農業経営教育のすそ野の拡大に向けて、新たにオンラインスクールの展開を開始しました。2024年4月には、品川本校での教育をアグリビジネス領域におけるイノベーター育成を目指すカリキュラムへ転換するなど、更なる農業界への価値提供に挑戦していきます。

オンラインスクールの教育メニュー(2023年6月以降、順次提供開始)

農泊を活用した地方創生支援

農山漁村地域に雇用と所得を生み出す“稼げるビジネス”として、「農泊」事業が推進されています。2020年に、JA全農、農協観光、日本ファームステイ協会とともに四者連携協定を締結し、農泊事業の確立・推進強化を通じた地方創生の実現に取り組んでいます。
当金庫では、JAバンクとしての金融機能(農泊ローン等)を提供するほか、幅広い取引基盤を通じた連携コーディネートを行っています。

農泊実践を通じた地域活性化、農村・農業の振興

上記四者は、2021年9月から翌年1月にかけて、ビジネスパーソンを対象としたキャリア講座を提供する「丸の内プラチナ大学」にて、農山漁村地域の活性化に資する取組みとして“農泊”をテーマに講座を開講しました。本取組みは、大丸有エリア(大手町・丸の内・有楽町エリアの略称)内外の連携や協働、同エリアのまちづくり推進を行うエコッツェリア協会((一社)大丸有環境共生型まちづくり推進協会)に協賛する形で行われたものです。
本講座は、都市と農村の交流による課題解決や地域のファンづくりを通じた持続可能な地方創生を目指し、全6回の座学のほか、農泊推進地域でのフィールドワークを実施し、都市・地域住民の交流を図りました。

ビジネスイノベーションの創出

オープンイノベーションの拠点「AgVenture Lab」

JAグループは、2019年、「次世代に残る農業を育て、地域のくらしに寄り添い、場所や人をつなぐ」をコンセプトに、イノベーションラボ「AgVenture Lab」(アグベンチャーラボ)を東京・大手町に開設しました。
ラボでは、JAグループのさまざまな事業と、技術やアイデアを持ったスタートアップ企業やパートナー企業、大学、行政等を結び付け、さまざまな知見やテクノロジーを活用しながら、新たな事業創出、サービス開発、社会課題の解決を目指します。ハード面では、スタートアップ企業等に向けたコワーキングスペースを設置。またソフト面では、スタートアップ企業等からビジネスプランを募り、JAグループの強みを活用した新たなビジネスモデルの創出を目指す「JAアクセラレーター」プログラムを柱に、イノベーションの加速を図ります。
2022年5月、「JAアクセラレータープログラム第4期」に参加する企業を選抜するためのビジネスプランコンテストを開催し、本プログラムに参加する9社を決定しました。
本プログラムは、「食と農、くらしのサステナブルな未来を共創する」をテーマとして、JAグループで展開する幅広い事業を対象に、FinTech のみならず AgTech や FoodTech、LifeTech などにかかるビジネスプランを募り、JAグループの強み(店舗をはじめとする各種インフラ、顧客ネットワークほか)も活用して新たなビジネスモデルの創出を目指すものです。

AgVenture Labの取組領域

「JAアクセラレータープログラム第4期」ビジネスプランコンテスト受賞企業
<ビジネスプランコンテスト優秀賞>「JAアクセラレータープログラム第4期」参加企業
株式会社Agnavi 適量・オシャレ・持ち運び便利”を実現した1合180mLの缶入り日本酒ブランド『ICHI-GO-CAN®』
株式会社エコロギー サステナブルな機能性養鶏飼料の共同開発
株式会社Engi 農家の手取り向上!キャンプ場を新たなマーケットにする 〜キャンプ場特化型『地産地消』ECプラットフォーム〜
クオンクロップ株式会社 MYエコものさし
サグリ株式会社 衛星データを活用した作付け調査及び土壌分析
デイブレイク株式会社 特殊冷凍技術を活用したフードロス削減プロジェクト
株式会社TOWING 高機能ソイルを活用した農地への炭素固定が可能な次世代苗の普及
株式会社TOMUSHI 洗練されたカブトムシによるサスティブルなタンパク質の大量生産システムでタンパク質危機とゴミ問題を解決
株式会社My Fit パーソナライズプロテインの定期便myfit
<イノベーティブ賞>本プログラム外でアライアンスや支援の検討対象となる企業
株式会社JPY、Kamakura Industries株式会社、GenomeMiner、ジカンテクノ株式会社、株式会社nano Freaks、株式会社フロンティア・フィールド

トピック

学生向けビジネスプランコンテストの開催

イノベーションラボ「AgVenture Lab」(アグベンチャーラボ)では、社会課題の解決を目指す学生起業家を支援するため、学生を対象としたビジネスプランコンテストを開催しました。
2022年度は、全国の大学、大学院、高等学校等から応募のあった76件のアイデアから10件のファイナリストを選出。2023年2月に開催したコンテストでは、ファイナリストそれぞれがビジネスプランを発表のうえ、参加者やJAグループをはじめとしたスポンサーとの連携を深めました。
JAグループは、こうした若者との協働・連携に向けての対話を積極的に行っています。

学生向けビジネスプランコンテスト参加者

【優秀賞】
• 地球化学研究室(近畿大学) 「鉱泉を活用した海の環境と漁獲量向上事業」
• e-Combu(小樽商科大学 他) 「もったいない昆布からつくる地球にやさしい飼料」
• 株式会社LacuS(開志専門職大学) 「シニア向け完全栄養食ブランド『ME TIME』」

【農林中央金庫賞】
• LIFT(東北大学) 「ロープ自走型輸送機を用いた効率的な動物の搬送」

JAグループにおけるSDGsの取組み

SDGsの達成には、政府だけでなく、民間の団体・企業の役割も求められており、協同組織の役割も期待されています。
このような情勢や協同組合への期待を踏まえ、JAグループとしての基本的考え方を整理した「JAグループSDGs取組宣言」を2020年に公表しました。当金庫もJAグループの一員として、SDGsの達成に向けて、取組みを進めていきます。

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