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CFOメッセージ

機動的かつ弾力性を伴った財務運営を推進し、安定的な黒字継続と強固な収益基盤の確立を目指します

顔写真:代表理事専務執行役員 長野 真樹

代表理事専務執行役員
最高財務責任者(CFO)
コーポレート本部統括役員

長野 真樹

顔写真:代表理事専務執行役員 長野 真樹

2025年度の決算概要と振返り

2025年度は、2024年度に計上した損失を踏まえ、当金庫としてまず黒字を達成することを経営の最重要課題に掲げ、様々な取組みを進めてまいりました。2024年度はステークホルダーのみなさまに大変なご心配とご迷惑をおかけする結果となりましたが、会員のみなさまから資本増強をいただき、そのご支援のもと「収益源の分散化」を強く意識し、特定のリスクに偏重した収益構造からの脱却に向けたポートフォリオ改善に取り組みました。市場環境も追い風になり、2025年度決算は見通しとして掲げた300~700億円を上回る、1,214億円の連結純利益を計上し、黒字化を達成することができました。また、金融機関の健全性を示す自己資本比率は普通出資等Tier1比率で17.81%(連結)と、バーゼル規制で求められる水準を上回る健全性を確保しています。

もっとも、中長期的に安定した黒字を確保するうえでの「収益源の分散化」は道半ばと認識しており、引き続き特定のリスクに過度に依存しない収益構造への転換を進めるために、もう一段取組みを加速させていきたいと考えています。今後の財務運営では「安定的な黒字継続」と「強固な収益基盤の確立」を2大テーマに掲げ、資本・人的リソースを、投融資をはじめとした各事業に適切に分配し、各部門の収益力向上を通じた収益源の分散化に取り組みます。CFOの役割は、こうした経営リソースを適切に配分することを通じ、強固な収益基盤を構築することにあるとの認識のもと、「収益構造の転換」と「成長戦略の推進」との両立をしっかり果たしてまいります。

連結純利益の推移

連結純利益の推移を示した棒グラフ。単位は億円。2020年度は2,082億円、2021年度は1,846億円、2022年度は509億円、2023年度は636億円。2024年度はマイナス1兆8,078億円。2025年度は1,214億円。2025年度の見通しは300億円から700億円。

自己資本比率および所要水準

自己資本比率および所要水準を示した棒グラフ。単位はパーセント。凡例は、総自己資本比率(バーゼルIII)、Tier1比率、普通出資等Tier1比率(CET1比率)。所要水準は7.5%。2020年度末は、総自己資本比率23.19%、Tier1比率23.19%、普通出資等Tier1比率19.86%。2021年度末は、総自己資本比率21.23%、Tier1比率21.22%、普通出資等Tier1比率17.87%。2022年度末は、総自己資本比率22.03%、Tier1比率21.98%、普通出資等Tier1比率17.82%。2023年度末は、総自己資本比率21.23%、Tier1比率21.18%、普通出資等Tier1比率16.43%。2024年度末は、総自己資本比率22.28%、Tier1比率19.65%、普通出資等Tier1比率17.70%。2025年度末は、総自己資本比率22.06%、Tier1比率19.76%、普通出資等Tier1比率17.81%。
  • ※規制上求められる自己資本比率水準。内訳:最低所要水準(CET1比率基準4.5%)+資本保全バッファー(2.5%)+D-SIBsバッファー(0.5%)。(カウンターシクリカルバッファーは控除)

収益源の分散化と今後の方向性

国際秩序が大きく変化するなか、地政学リスクや物価見通しなど、実体経済に影響を及ぼす外部環境の動向にはこれまで以上に注意を払う必要があります。そうした環境のもと、特に重要となるのが「財務の弾力性を確保する」という視点です。環境変化に合わせて、いかに迅速かつ機動的に経営の舵を切ることができるか、これがCFOの私に課せられた命題であると重く受け止めています。「収益源の分散化」という方針のもと、市場変動の影響を受けにくい運用資産、具体的にはクレジット資産など非金利リスク資産への取組みを強化し、金利リスク・非金利リスクのバランスの取れたポートフォリオの構築に取り組んでまいります。また、農林中央金庫グループは資産運用ビジネス、いわゆる手数料ビジネスによる収益の割合が少ないことも課題であり、農林中金全共連アセットマネジメント株式会社をはじめグループ会社の様々な運用商品をグループ一体で展開し、他社との資本提携も積極的に推進しながら手数料ビジネスの拡充に努めてまいります。

「稼ぐ力」の再構築に向けた主な取組み

「稼ぐ力」の再構築に向けた主な取組みを示した図。収益源の分散化として、地域、アセット、年限、投資時期の分散を行う。収益源は、債券、株式、クレジット等、法人貸出、グループ会社活用の5つに分かれている。これらにより、金利リスクと非金利リスク資産のリバランス、資産運用ビジネス強化を行う。あわせて、財務運営・リスク管理の強化として、経営管理態勢の強化、財務戦略委員会の設置をはじめとする経営会議の再編を行う。
  • ※クレジット投資、オルタナティブ投資、プロジェクトファイナンスなど

財務指標に関して

当金庫は、会員が出資者であり預金者でもある協同組織金融機関です。この特徴により、当金庫はこれまでも安定的な調達基盤を確保してきました。これは当金庫の大きな強みであり、今後も揺らぐものではありません。

一方で、足元で金利ある世界へ転換が進むなか、預金量に一定の変動が見られる状況となっています。その結果として、当金庫のバランスシートも従来以上に変動性が高まる可能性があることを勘案すると、期初から一定の前提に基づく固定的な指標を設定し、その達成を第一とした財務運営を行うことは必ずしも最適とは言えない側面もあります。こうした考えに立ち、お示ししている期末決算の見通しは一定の範囲での設定としています。

当金庫の使命は農林水産業の成長に資するための円滑な金融を行っていくことにあります。そのためにJAバンク・JFマリンバンクの全国機関として、それぞれの会員からお預かりしている預金を着実に運用し安定的に還元していくことが当金庫の重要な責務だと認識しています。さらに、事業活動を通じて農林水産業がより持続的に発展し、安定的な食の維持・拡大に繋がることが当金庫の目指すべきゴールの一つであると考えています。このために必要な財務運営にしっかりと取り組んでまいります。

写真:財務指標について語る代表理事専務執行役員の長野真樹

財務ガバナンス・リスク管理面の留意点

2024年度に財務戦略委員会を新設し、投融資執行と財務運営とリスク管理のそれぞれが一層の牽制機能を発揮できるよう枠組みを構築しました。これまでは、財務と投融資を担うフロント部署同士がやや同調的な関係となることもあり、それが結果として前年度の大きな赤字にいたる根本要因の一つになったものと認識しています。

この反省を活かして、現在は投融資の執行を議論する会議体と財務戦略委員会で、投融資執行と財務運営を明確に分離して議論を行う形に変更しています。また、財務ガバナンスの面では、収益確保に必要な各種リソースの配分を財務戦略委員会で協議のうえ理事会で決定し、配分されたリソースに則って各投融資フロントが実際の投資を行い、期待される収益を実現するという、経営からフロントまでの一連の収益確保プロセスが整理されたものと認識しています。加えてリスク管理部門では、財務健全性の観点からどの程度までのリスクを許容できるのか、財務・投融資執行双方に牽制をかける役割を担っています。こうした運営を行うなか、特に財務と投融資フロントの間で軋轢が生じることもありますが、その軋轢は健全な議論の結果と考えています。今後も財務運営の透明度と解像度をより一層向上させ、グループ会社も含めた部門別収益等の見える化により、スピーディーな経営判断に繋げてまいりたいと考えています。

リスク管理の枠組み

リスク管理の枠組みを示した図。経営会議のもとに、財務、リスク、投融資執行等の3領域がある。財務には、財務戦略委員会、クレジットコミッティーがある。リスクには、統合リスク管理会議、コンプライアンス委員会がある。投融資執行等には、市場PM会議、信用PM会議、事業戦略会議、食農金融会議がある。リスクは財務及び投融資執行等を牽制し、財務から投融資執行等へ経営資源を配賦する関係が示されている。PMはポートフォリオマネジメントを表す。
  • ※ポートフォリオマネジメント

2026年度の見通し

当金庫は国内外の金融市場に関する複数のシナリオを想定し、保有資産と新規に投融資を行う資産を含めた収益水準のシミュレーションを行っています。少なくとも向こう3年程度の黒字確保を見渡せる状況を確保できるよう、不確定な要因が生じることも見越して、財務戦略委員会を中心に継続的な定点観測を行いながら財務運営に努めています。今回、2026年度の連結純利益見通しは500~1,000億円と幅をもたせる形でお示ししました。この見通しは2025年度対比で若干減益となる水準ですが、中東情勢緊迫化の影響など今後の動向を見極めたうえで逐次見直しを図り、中長期的な視点で様々な予測を踏まえながら、弾力性を持ったより精度の高い財務運営を行ってまいります。

収支イメージ

収支イメージを示した棒グラフ。連結純利益は、2026年度に500億円から1,000億円を見込む。2027年度、2028年度に向けて収益水準が上昇していくイメージを示している。前提となる金融指標は、2027年3月末時点で、本邦政策金利1.25%、米国政策金利3.50%、ドル円為替150円程度。

ステークホルダーのみなさまに向けて

2025年度は、会員のみなさまからのご理解とご協力をいただき、見通しを上回る黒字を実現することができました。しかしながら、私たちが目指す収益源の分散化についてはまだ緒に就いたばかりです。引き続き一日も早くみなさまからの信用と信頼を回復するため、経営体制を整えながら、「稼ぐ力の再構築」に向けてなお一層取組みを加速してまいる所存です。

(2026年7月)

写真:ステークホルダーのみなさまに向けて語る代表理事専務執行役員の長野真樹

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