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農業法人の成長に伴走。県を跨いだM&Aへのサポートで安定的な生産を可能に

2026年10月28日

ポイント要約

どんな事例?

  • 静岡県信用農業協同組合連合会(以下、静岡県信農連)と連携して株式会社グリーンテック(以下、グリーンテック)の事業拡大に向けたM&A※1を支援し、他県の農業法人のグループ化を実現した事例 

背景・課題

  • グリーンテックは小ねぎの需要増大に対応するため、より安定的な生産体制の構築を考えていた
  • グリーンテックとして初めてM&Aを進めるにあたり、専門家の協力を必要としていた

取組み・農林中央金庫の関わり

  •  静岡県信農連と連携し、経営課題の解決に向けた担い手コンサルティング※2や、グループ会社の株式会社農林中金総合研究所による市場調査といった非金融ソリューションを継続的に提供 
  • M&Aにおいて、当金庫がファイナンシャル・アドバイザー※3に就任
  • 静岡県信農連と協力してM&Aにあたっての株式取得資金にも対応

成果

  • グリーンテックがこれまで培ってきた優れた栽培・経営管理ノウハウが買収先に導入され、安定的な生産と地域経済の活性化を期待できる体制が整えられた 

※2026年7月時点の取組事例です 

農業法人の規模拡大ニーズに対応し、県を跨いだM&Aを支援 

グリーンテックは、静岡県焼津市に本社を構え、水耕栽培の小ねぎ生産において国内トップレベルのシェアを持つ農業法人であり、静岡県信農連の長年の取引先です。グリーンテックは、更なる事業拡大として、現在の関東中心の商圏を全国へと広げていくことを検討していました。グリーンテックの潮田政和取締役は、2019年に群馬県に生産拠点を作った経験から「新しい土地で人を集めてハウスを建設するのは大変でした。今後は水耕栽培の生産法人をM&A等でグループ会社化して、全国的に安定して供給する体制を作りたいと考えていました」と当時の状況を振り返ります。

そうしたなか、2025年に広島県で大規模な生産施設を有する株式会社グリーンカクエイ(以下、グリーンカクエイ)のM&A案件が浮上します。ただ、M&Aを進めるには専門的な知見を持つファイナンシャル・アドバイザーが必要でした。そこで潮田取締役が相談したのが、長年グリーンテックを金融面でサポートしてきた静岡県信農連でした。相談を受けた静岡県信農連は日常的なやりとりがある当金庫名古屋支店へ、さらにそこから本店の営業企画部でM&Aを専門的にサポートする部署へと連携が図られ、最終的には当金庫がファイナンシャル・アドバイザーに就任する運びとなりました。また、M&Aにあたっての株式取得資金についても当金庫名古屋支店と静岡県信農連が協力して対応することになりました。 

2026年1月、グリーンテックはグリーンカクエイの株式を100%取得してグループ化。グリーンテックの優れた栽培・経営管理ノウハウがグリーンカクエイに導入され、県を跨ぐ広域での事業体制が整えられました。大規模農業法人のM&Aへの対応は、全国機関である当金庫が、今回の静岡県信農連をはじめとする系統組織と連携することで可能になった事例であり、持続可能な農業生産の実現に貢献する取組みとなりました。潮田取締役は今後のM&Aの需要についても「今後もこのような農業法人の合併や再編は進むと思いますし、私たちも次のM&Aを考えています」と話しています。 

非金融領域での継続的なサポートで、国内農業の持続可能な発展を支える 

本件において当金庫はM&Aのファイナンシャル・アドバイザー就任、そして株式取得資金の対応を任されました。その背景には、当金庫と静岡県信農連が連携し、普段から金融面だけでなく、非金融領域においても地道な提案を継続し、ニーズに応えてきた経緯があります。 

当金庫および静岡県信農連は、グリーンテックの成長フェーズに合わせた多様な非金融ソリューションを提供してきました。2021年6月から実施した担い手コンサルティングや、株式会社農林中金総合研究所を通じた市場調査等のサポートによって、グリーンテックの経営拡大や基盤強化を支援。潮田取締役は「私たちだけでは全国の生産量や出荷量といったマーケティング情報を取得するのは困難です。市場調査をサポートしていただいたことで、今後の当社の戦略や方向性を明確に定めることができたことは大きな成果でした」と振り返ります。 

静岡県信農連 農業支援部の小長谷傑副調査役は、グリーンテックとの関係性について「過去の取組みや取引を通じて良好な関係性を築けていると感じています。これからも金融だけではなく、ビジネスマッチングなど様々な面から提案を行い、出身地である地元の農業法人の成長に少しでも力になりたいと考えています」と話します。

日本の農林水産業は、担い手の高齢化など多くの課題を抱えています。食料安全保障の観点からも、農林水産業を持続可能な形で発展させていくことは重要課題です。当金庫はこれからも信農連やJAと役割を分担しながら、M&A等を通じて新たな食農バリューチェーンの構築を後押しし、国内生産基盤の強化と、日本の食の根幹である農林水産業を支えてまいります。 

担当者VOICE 農林中央金庫 名古屋支店 鈴木 雅也

担当 VOICE

生産者と静岡県信農連の挑戦をサポート

農林中央金庫
名古屋支店

鈴木 雅也

静岡県信農連からM&Aについての相談を受けた際、スピード感が強く求められていました。当金庫本店の営業企画部は多数の案件に取り組んでおり、迅速な対応を進めるためにはいくつかのハードルがありましたが、グリーンテックが静岡県信農連にとって極めて重要な取引先であることは理解していました。「何としても期待に応えたい」という一心で本店へ働きかけ、短期間で資料をまとめ、グリーンテックに対して提案することができました。

本件は、静岡県信農連が日頃からグリーンテックと強固な信頼関係を築いてきたことが起点となっています。当金庫はJAグループの一員として、この関係性の維持・発展をサポートしていくなかで、最終的にM&Aにかかる資金対応に至りました。これまでのサポートの積重ねが、当金庫とグリーンテックとの直接的な取引に繋がったことを感慨深く思っています。当金庫が期待されている役割は、地域の農業法人や信農連、JAをサポートし、全国段階の組織として広域的な情報収集や専門的な支援を的確に提供していくことだと考えています。本件のように県を跨ぐ広域なM&A案件への対応は、全国にネットワークを持つ当金庫だからこそ提供できる独自の価値であり、系統組織と連携するなかでまさに私たちが役割を発揮すべき領域だと思います。

本件でグリーンテックのグループ会社になった広島県のグリーンカクエイは、足元の事業環境下で、事業規模の維持に課題を抱える農業法人でした。今回のグループ化に伴い、全国有数のノウハウを持つグリーンテックの知見が導入されることで、今後、広島での生産規模の維持・拡大、さらには地域経済の活性化や雇用の維持・創出に繋がることを期待しています。昨今、農業分野では担い手の高齢化が進んでおり、「安定的に事業を継続している農業法人に事業を引き継いでほしい」という潜在的なニーズは確実に存在します。日本の農業を持続可能なものにしていくためにも、当金庫として、今後もこうした再編やM&Aに積極的に対応していく必要があると感じています。

私が担当する静岡県をはじめ、現場で様々な農業法人とお話しすると、みなさまが非常に広い視野を持ち、大きな夢を描きながら経営に当たられていることにいつも心を打たれます。これからも、みなさまのそうした熱い想いに応え、生産者に伴走しながら夢の実現をサポートできるように尽力していきたいと考えています。 

  • ※ 1…M&A:企業や事業の合併・買収のこと。
  • ※ 2…担い手コンサルティング:系統組織(JA・信農連・農林中金)が一体となり、農業法人の事業実態の把握や課題の可視化を行い、経営基盤強化のための解決策を提案する取組み。
  • ※ 3…ファイナンシャル・アドバイザー:企業価値評価や条件交渉等の助言・手続きをサポートする専門家のこと。

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