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農林中央金庫ならではのサステナブル経営の実践を目指して

農林中央金庫 代表理事理事長 奥 和登

農林中央金庫
代表理事理事長奥 和登

急速に変化する時代の中で、農林水産業の発展を支え続ける

農林水産業を支える協同組織の一員である農林中央金庫は、JA(農協)、JF(漁協)、JForest(森林組合)など会員のみなさまに金融サービスを提供することにより、農林水産業の発展に寄与し、国民経済の発展に資することを目的とした組織です。
農林中央金庫法第一条にあるこの社会的役割は、私たち役職員の一人ひとりが、どのような分野で仕事をしていても忘れることのない、唯一無二の使命です。そしてその使命を果たしていくため、食農ビジネス、リテールビジネス、投資ビジネスの3つのビジネス領域とそれらを支えるコーポレート機能を含め、さまざまな活動をしています。
さて、2020年度は、全世界規模で、地球温暖化への対策として脱炭素の動きが加速したことに加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、パンデミックに対する企業や社会のレジリエンス(強靭性)の重要性が強く認識された1年でした。
新型コロナウイルス感染症は、「⾮連続」な変化を増幅させ、これまでのライフスタイルや価値観を⼀変、社会に急速な変⾰をもたらし、お客さまや会員のみなさま、そして従業員も含むステークホルダーのみなさまを取り巻く環境を⼤きく変えました。とりわけ、農林水産業・食農バリューチェーンに対し深刻な影響を及ぼし続けています。
こうした災禍が現実に起こり得ることを経験した中、当金庫ではサステナブル経営の実践に向けて、「気候変動をはじめとした環境・社会課題解決への取組み強化」、「農林⽔産業・⾷農バリューチェーンのレジリエンス強化」、「⾦融機関としてのレジリエンス強化」が新たな課題として浮き彫りになったと認識しています。
こうした課題以外にも、農林水産業に多大な影響を及ぼす生物多様性の喪失、世界的な人口増加による食糧不足、先進国における少子高齢化による労働力不足等、われわれの事業基盤そのものを揺るがしかねない課題が世界規模で急速に進展しています。パリ協定の本格運用の開始や、国連「持続可能な開発目標(SDGs)」等、社会の持続可能な発展に向けた取組みは進展し、企業に対する社会的課題解決への期待も年々高まっています。こうした社会からの期待や要請を踏まえた事業運営がステークホルダーのみなさまから求められていると認識しています。
一方、私たちの事業基盤となる国内農林水産業は、“いのち”を育む食料を産み出し、地域活性化や国土保全等の機能を有するかけがえのない産業です。異なる視点では、気候変動をはじめ最も自然環境に影響を受けやすい産業という側面を有しています。また、温室効果ガス(GHG)排出などにより農林水産業そのものが環境に負荷をかけている面もあります。わが国においては、環境に配慮した農業の取組み進展、資源管理型漁業の展開、間伐や再造林等を通じた森林の多面的機能発揮により、農林水産業が環境に対して大きく貢献しているという側面もあります。こうした現状や課題もしっかりと認識したうえで、われわれはビジネスを通じて、GHGの排出削減をはじめ地球レベルの課題に積極的に、かつ、当然に取り組む必要があると考えています。当金庫がサステナブルな社会の実現に向けて、ステークホルダーのみなさまとともに考え、事業活動を行う必要があると強く感じています。

存在意義(パーパス)の実現に向けて、中長期的視点で取り組む

気候変動をはじめとした環境・社会課題の深刻化、コロナ禍による働き方・ライフスタイル・価値観の変容など、当金庫そして基盤となる農林水産業を取り巻く環境は急速に変化を続けています。 こうした時期だからこそ、当金庫は“何のために社会に存在するのか”将来のあるべき姿を見据えて、見つめ直すこととしました。昨年1年をかけて私以下全役員のワークショップを軸に、職員でも議論を重ね、またステークホルダーの意見も踏まえ、パーパス(存在意義)を定めました。
当金庫では、「農林水産業と食と地域のくらしを支えるリーディングバンク」を目指す姿として、また『持てるすべてを「いのち」に向けて。』をコーポレートブランドとして定めています。
今回、「サステナブル経営」とコーポレートブランド『持てるすべてを「いのち」に向けて。』を「いのちの連鎖」として整理・表現しました。
「人のいのち」と「食べ物(生物)のいのち」と「地球(星)のいのち」はつながっています。私たちが生きるためには食べ物が必要、食べ物を届けてくれているのが農林水産業、農林水産業が作り出す食べ物すなわち動物や植物は、水や空気といった自然の恵みの授かりもの。自然の恵みは、持続的な地球環境があってこそもたらされるものです。
こうして作り上げたパーパス(存在意義)が以下のフレーズです。

このパーパスの実現のため、2030年に向け新たに2つの中長期目標を掲げました。
● 投融資先等のGHG排出量削減(2013年対比50%減)
● 農林⽔産業者所得の増加
投融資先等のGHG排出量削減は、脱炭素社会の実現に向け、“当金庫の投融資先のGHG排出量削減”“系統と連携した森林由来のCO2吸収推進”“当金庫自身のGHG排出量削減”の3項目を軸に取組みを進めます。
また、農林水産業者所得の増加は、サステナブルな農林水産業および地域コミュニティ維持の実現に向け、地域において農林水産業に携わる方々の所得が増加することで、就農者や関係人口が増加し、結果として地域活性化につながることを明示した目標として掲げたものです。

当金庫では、存在意義(パーパス)を踏まえ、中長期目標の実現を通じて、ステークホルダーのみなさまとともに成長できるよう、日々の業務に取り組んでまいります。

コーポレートロゴに込めた思い
農林中金ロゴ

農林中央金庫のロゴマークに描かれているのは、農林水産業が営まれ、数多の「いのち」がつながってきた、日本の景色そのものです。海・大地・森の各色がひとつに混じり合うその様は、そこにある「いのち」の息吹と、ともに歩み続ける私たち一人ひとりの、意思を表しています。
私たちのビジネスは、農林水産業の営みによる「いのち」や自然の循環とともにあります。
地域社会に深く根ざしてビジネスを行うなかで、環境・社会課題の解決に取り組み、持続可能な農林水産業・社会の実現に貢献すること。
それが、農林中央金庫が果たしてきた役割であり、これからも一層の貢献に向け努力していきます。

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