サステナブル・ファイナンス
当金庫では中長期目標として2030年までのサステナブル・ファイナンス新規実行額を10兆円に設定しました。
なお直近では、約59.6兆円の市場運用資産のうち、3.6兆円をサステナブル・ファイナンスに充てています(2022年3月末現在)。
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2030年度
サステナブル・ファイナンス新規実行額目標
10兆円
ESGインテグレーション
環境・社会リスク管理の一環として、投融資案件の審査にESGインテグレーションを取り入れています。投融資先の財務分析とESG評価の総合評価で投資判断を行います。また、その過程で投融資先と対話を行い、「悩み」や「課題」を共有することで、投融資先のサステナビリティ取組みの支援や次のビジネスチャンスの創出につなげていきます。
環境・社会に対してポジティブな影響を生み出すインパクト投資
適切な経済的リターンを得ながら、環境的・社会的にポジティブなインパクトを生み出す「インパクト投資」は、投資を通じて環境・社会課題の解決に直接貢献するものとして関心が高まっています。当金庫は、2022年度に最大150億円のインパクト・プライベート・エクイティ・ファンド※1投資を可能とする投資プログラムを開始しました。
なお、2022年4月に、同プログラムの一部を活用し、Apollo Global Management, Inc.※2の関係会社が組成するインパクト・プライベート・エクイティ・ファンドに、気候変動のほか教育機会や医療・福祉等へのポジティブなインパクト創出を目指して、投資を行っています。
※1 経済的なリターン、および環境・社会インパクトの創出を同時に目指すプライベート・エクイティ・ファンドの総称。
※2 Apollo Global Management, Inc.: 1990年に設立された、プライベート・エクイティ投資会社。プライベート・エクイティ業界を代表する会社の一つ。
担当者の声
市場運用部酒本 大輔

当金庫では、インパクトファンドを環境・社会への貢献度により評価する独自のデューデリジェンス項目を策定しました。この基準により、複数のインパクトファンドを比較することで、より質の高い投資につなげている点が、当金庫のインパクト投資の特徴です。標準的なデューデリジェンス項目はまだ確立されておらず、私たちが策定した項目も今後継続的に見直していく必要はありますが、インパクト投資により環境・社会にポジティブなインパクトを創出していくためには、重要な取組みであると考えています。
インパクト投資を通じて測定ノウハウを蓄積し、当金庫の投融資先が環境・社会面に与えるインパクトを計測することが可能となれば、サステナブル・ファイナンスのさらなる発展にもつながると考えています。
農林中金全共連
アセットマネジメント
株式会社
運用部
オルタナティブグループ奥村 彩

私たちは主に財務リターンの観点から、インパクト投資に対する助言をしています。インパクト投資は歴史が浅いため、リターン創出の蓋然性にかかる分析には従来の案件以上に難しさがあります。しかし、農林中金がプライベート・エクイティ・ファンド投資で培った知識や手法をうまく活用し、またグループ内の緊密な連携を図ることにより、その難しさを想定以上のスピードで乗り越えていくことができました。
グローバルな投資家の中には、投資による社会・環境への貢献を強く意識している方々が多く、この傾向はさらに加速していくものと感じています。アセットマネージャーとしてインパクト投資を後押しできるよう、今後も貢献していきたいと考えています。
サステナビリティ・リンク・ローンをはじめとしたESGローン商品の創設
投融資先の経営戦略上の環境・社会課題解決に向けた取組みを促進するとともに、中長期的な企業価値をサポートするため当金庫ではESGローン商品を取り扱っています。
サステナビリティ・リンク・ローンは、投融資先の経営戦略に基づくサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を設定し、貸付条件と投融資先のSPTsに対する達成状況を連動させることで、投融資先の目標達成に向けた動機付けを促進するものです。
また、グリーン・ローン原則等に準拠した資金使途限定のローン商品としてグリーン・ローン(環境配慮事業)、ソーシャル・ローン(社会配慮事業)、サステナビリティ・ローン(環境・社会配慮事業)を創設しているほか、企業の脱炭素に向けた移行の取組みに対して資金供給を行うトランジション・ローンの取り扱いも開始しています。
これらの商品により、お客さまの環境・社会課題解決に向けた取組みをサポートします。
商品名 | 資金使途 | |
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サステナビリティ・リンク・ローン | 非限定(SPTsを設定) | |
グリーン・ローン | 限定 | 環境配慮事業 |
ソーシャル・ローン | 社会配慮事業 | |
サステナビリティ・ローン | 環境配慮事業かつ社会配慮事業 | |
トランジション・ローン | 限定/非限定 気候変動に資する取組み |
トピック
食品事業における環境負荷低減への貢献
雪印メグミルク株式会社(以下、当社)は、食品事業と地球環境の共生を目指し、工場設備の省エネ、環境に配慮した資材活用、廃棄物削減等に取り組んでいます。
当金庫は、当社における環境負荷軽減の取組みを支援するため、2022年3月に当社とサステナビリティ・リンク・ローンを締結しました。
なお、本件ローンでは、CO2排出量削減(2013年度対比50%削減)を、2030年度目標としてサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲットに設定しました。
担当者の声
営業第四部
二見 智行

サステナビリティ・リンク・ローンは、金利のインセンティブに加えて、国内外の投資家へのアピールやSPTs達成の動機付けなど多くの利点があり、さまざまな業界の環境負荷低減やSDGsへの貢献を後押しできる商品です。
今回の雪印メグミルク株式会社との契約においても、多様な社会課題や乳業・飲料業界の未来に対して、私たちに何ができるのか議論を行いました。こうした対話を通じて、サステナビリティ・リンク・ローンを活用した脱炭素社会実現への貢献を共に目指すこととし、契約締結にいたりました。
日々の業務を通じてお客さまと接する中で、ESGローンのニーズがますます高まっているものと感じています。これからもグループ会社含め、当金庫が持つリソースを最大限に活用しながら、お客さまや社会の持続可能性に資する提案を積極的にしていきたいと考えています。