投融資先のGHG排出量削減に向けて

お客さまとのエンゲージメントの取組み

2030年中長期目標で掲げるGHG排出量▲50%の実現に向けて、お客さまとの建設的な対話を通じて、気候変動にかかる課題認識の共有、脱炭素社会へのトランジション支援等を行いながら、ビジネス機会獲得とリスク管理の強化に取り組んでいきます。

農業・食品産業技術総合研究機構との連携

グローバルでは、農業は高炭素排出セクターと評価されています。一方で、農業生産における脱炭素技術・手法は限られ、また、農業のGHG(温室効果ガス)算定において、脱炭素化の取組みを適切に反映する仕組みが、いまだ構築されていません。
当課題の対応として、当金庫は農業・食品産業技術総合研究機構と連携し、農業生産者におけるGHG削減を促進・支援する独自の取組み(MABIプロジェクト※)を開始しました。
この連携により、脱炭素化の取組みを適切に反映する排出量測定基準を策定するほか、 GHG削減の技術を普及するとともに、農業法人に対しても脱炭素経営支援およびGHG計測等を実施し、農業の環境課題解決に貢献していきます。

※ Measurements of GHG in Agriculture and Better Implementation

お客さまのGHG計測にかかる支援

脱炭素社会の実現に向けて、気候変動に関する情報開示が求められています。企業は自社のみならずサプライチェーン全体のGHG排出量の計測・削減への対応が求められています。
当金庫は、GHG排出量計測およびCDP回答への支援等のコンサルティング業務を行う企業と連携し、お客さまの脱炭素化に向けたソリューションを提供し、環境・社会課題の解決に貢献していきます。

担当者の声

営業企画部

伊藤 由美子

営業企画部 伊藤 由美子

GHG計測は脱炭素に向けた最初の重要な一歩ですが、農業分野の計測では環境負荷を軽減した生産を行っていたとしても、国際ルール上、GHG計測に反映される仕組みになっていないという課題があります。私たちは、農業法人や企業のGHG計測の支援だけではなく、世の中の取組みとGHGの計測制度のギャップを埋めるための仕組みづくりにも取り組んでいます。脱炭素社会を実現していくためには、GHG計測と削減のサイクルを回すための支援だけではなく、そのサイクルを回すために必要な仕組み、ソリューションが重要です。誰も解を持っていない未来の社会に必要な「農林中金だからこそ提供できる」ソリューションを今後も検討していきたいと考えています。
当金庫は、食と地域のくらしを支えるリーディングバンクを目指し、行政、農業分野の研究機関や食品業界を中心としたさまざまな企業等幅広いコネクションを持つなかで、脱炭素社会に向け農業が抱える課題に対して果たすべき役割は大きいと感じています。“持続可能な社会における地域の農林水産業がどうあるべきか”といった課題に対して、食品や農業に関係する多くの方々と対話を重ねながら、食農ビジネスと農林水産業の未来をつくっていきたいです。

投融資先のGHG排出量の算定

当金庫では2030年中長期目標として「農林中央金庫投融資先のGHG排出量▲50%(2013年対比)」を目指しています。投融資を通じた間接的なGHG排出量(Financed Emissions、Scope3 Category15)は金融機関のGHG排出総量の大きな割合を占めるため、これらの計測・削減は重要な課題であると認識しています。
当金庫は2021年度に投融資ポートフォリオの広範なアセットクラスを対象としてGHG排出量の現状把握に取り組み、事業法人向けの貸出金・社債・株式を対象(ファンドを通じて投融資を行っている案件を含む)としたGHG排出量の試算を実施しました。

(1)算定手法

  • GHG排出量の試算にあたっては、PCAFが提唱する計測手法を参照しました。PCAFは投融資ポートフォリオのGHG排出量の計測・報告スタンダードの策定と普及を目的とした国際イニシアティブで、世界で210の金融機関が加盟しています(2022年2月時点)。なお、当金庫も2022年3月にPCAFへ加盟しており、今後はPCAFの保有する知見やデータベースを活用のうえ、投融資ポートフォリオのGHG排出量の計測・開示にかかる取組みの高度化をより一層促進していきます。
  • PCAFが提唱する計測手法によれば、各金融機関に帰属する投融資先ごとのGHG排出量は融資先へのエクスポージャーや投資先の企業/プロジェクト価値(投融資シェア)をベースに算定を行います。具体的な算定式は下記のとおりです。

※1 Scope1・2を対象としています。

(2)結果

事業法人向け投融資のGHG排出量を試算した結果、20.2百万tCO₂となりました。

2020年3月時点
排出量(mil tCO₂) 20.2
投融資額1億円当たりの排出量(tCO₂) 110
算定実施Exp(兆円) 18.4
(参考)算定未実施Exp(兆円) 1.8

※本表は現時点での試算結果であるため、今後の計測精緻化に伴い数値が変わり得る可能性があります。
※本表の試算結果について第三者認証は取得していません。

(3)課題

  • 投融資先の各企業における排出量データの開示状況は区々であり、開示がなされていない投融資先の排出量について推計等に一定程度頼らざるを得ない点を課題として認識しています。
  • 投融資先の排出量が非開示の場合、外部情報ベンダーの推計データを利用し、補足情報として投融資先の売上および排出原単位を利用することで「経済活動に基づく排出量」を推定しました。PCAFでは推定排出量の品質を評価するためのデータクオリティスコア(Data quality score)を下表のとおり定めており、当該スコアの算出を推奨しています。なお、今般の試算にかかるデータクオリティスコアの算出結果は約2.75となっており、今後も継続的なスコア改善を図ります。
レベル 排出量の算定方法
スコア1 企業の開示データ 1a
  • 投融資残高・財務データあり
  • 認証済み排出量開示あり
スコア2 1b
  • 投融資残高・財務データあり
  • 未認証の排出量開示あり
物理的活動に基づく排出量 2a
  • 投融資残高・財務データ、エネルギー消費量あり、排出量開示なし
  • 排出量はエネルギー消費量と係数で算定
スコア3 2b
  • 投融資残高・財務データあり、排出量開示なし
  • 排出量は生産量と排出原単位で算定
スコア4 経済的活動に基づく排出量 3a
  • 投融資残高・財務、売上データあり、排出量開示なし
  • 排出量は売上と排出原単位で算定
3b
  • 投融資残高データあり、排出量開示なし
  • 排出量は投融資残高と資産単位当たりの排出原単位で算定
スコア5 3c
  • 投融資残高データあり、排出量開示なし
  • 排出量は投融資残高、売上単位当たりの排出原単位、資産回転率で算定

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