現場の声 日本農業経営大学校(東京都)

日本農業経営大学校(東京都)

「農業のビジネススクール」が育てるのは地域を引っ張る未来のリーダー ●農林水産業の持続的発展、成長産業化 ●安心・安全な食料の安定供給

 東京都港区にある日本農業経営大学校(堀口健治校長=早稲田大学元副総長=)は、日本の農業の未来を切り拓く次世代の農業経営者・地域リーダーを育成することを目指して2013年4月に開校しました。

 国内の農業系学校の多くで農業技術がカリキュラムの軸となっている中、同校の課程(2年制)は農業経営が中心で、この点が大きな特色です。農業をビジネスとして学ぶ点、受験への出願資格として農業経験(研修も含む)が重視されている点などから、「農業のビジネススクール」と呼ばれることもあります。

 2017年度までに1~4期生・計61名の卒業生が送り出されて全国各地で就農したほか、2018年度も1年生・2年生の合計で30人が在学中。全員が神奈川県川崎市にある学生寮に入寮して寝食までともにしつつ、学んでいます。

 この日本農業経営大学校を運営している一般社団法人アグリフューチャージャパン(AFJ。鈴木豊理事長=(株)山城経営研究所社長・キユーピー(株)元社長=)は、食と農に関わる日本の団体や企業、教育・研究機関などオールジャパンの連携によって2011年度に発足。農林中央金庫は、その立ち上げ段階から全面的に協力し、現在に至るまでメインスポンサーを務めています。

 AFJには約260もの大手企業・団体などが正会員や賛助会員に名を連ねており、こうした会員とのネットワークを持つことも日本農業経営大学校の特徴になっています。AFJ会員企業の現役ビジネスパーソンが講師として特別授業を行ったり、交流会やセミナーに参加したりすることは、在校生や卒業生にとって他ではなかなか得られない知識や人脈を獲得できるチャンス。会員にとっても、この先長くつきあえる若い生産者との接点を得られる貴重な場となっています。

 農林中央金庫も日本農業経営大学校から得られるものは少なくありません。食農法人営業本部営業企画部の上野智央調査役は、次のように語ります。

「地域の農業を引っ張る未来のリーダーを育てる人づくりは、日本の農業のサステナビリティ向上に向けて欠かせない長期的な取組みですが、それだけではありません。卒業生の地域ネットワーク構築を農林中央金庫がお手伝いさせていただくなど、伴奏役として経営課題にソリューションを提供しています」

 上野調査役によると、現在注力しているのは学校の魅力発信。教育面での特色に加えて、特待生制度や国の農業次世代人材投資資金制度を活用すれば学費負担が非常に小さくなるといったメリットについても広く知ってもらうことにより、日本農業経営大学校で学ぶ若手農業経営者をさらに増やしていきたい考えです。

授業ではAFJ会員企業の社員が講師を務めることも
学生(右)が店員として和菓子メーカーで企業実習
校舎は東京の農林中央金庫施設内

(取材日:平成30年3月)

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