林業への貢献~森林再生基金
カルスト森林組合は、農林中央金庫の「森林再生基金(FRONT80)」の助成により、国定公園特別地域、特別天然記念物に指定されて森林施業等の規制を受けている地域の森林整備に取組みました。
地域と連携して法令等を遵守した施業方法を検討
「今回、『森林再生基金(FRONT80)』の対象となった187haの民有林は、長らく手入れがなされずに放置されていて、間伐することで経済林として再生できるうえ、景観整備の観点からも良いと考えました。」(髙須参事)
「ところが、いざ作業に入ると国定公園であるがゆえの、さまざまな規制にぶつかったんです。そこで『国定公園及び周辺地域の「林業経営可能な里山再生」事業推進協議会』を設置して、国定公園等に関わる法令に違反しないよう協議して、事業を推進することにしました。」(髙須参事)
「事業地は、比較的平坦な森林ですが、作業道の開設については、ほとんどが新たに開設しなければなりませんでした。幾重にも張り巡らされた規制をクリアしなければならなかったんです。」(髙須参事)
作業道の開設にもさまざまな苦労が
「例えば、路面に敷くバラスは、石灰岩バラス(石灰岩砕石)でなければ許可が下りません。また、作業道の作設にあたっては、『林内にたくさんある石灰岩を掘削してはいけない』といった規制があるため、場所によっては曲がりくねった道にせざるを得ませんでした。」
(杉山康彦(すぎやまやすひこ)事業課長)
「1年間に及んだFRONT80のプロジェクトでは、各種の法規制があるなかで、関係者等の理解と協力のお陰で、効果的な作業路網の開設に加え、効率的な搬出間伐等のノウハウ、生産性・コストのデータ等を蓄積することができました。また、所有者も、手入れして見違えるようになった森林を見て、森林経営に意欲を示すようになり、間伐や境界確認などに快く協力してくれるようになりました。健全な森林は、経済的・観光的な価値だけでなく、生物種の保全という観点からも高く評価されています。」(髙須参事)
「私がいわきサポートセンターに赴任したのは、平成23年10月です。当JAは、震災前に約270名いた職員が、現在では約120名と震災前の半分まで減少しています。当センターにおいても、職員18名のうち渉外担当者6名という少ない人数で、年間約8,000名の組合員および利用者を訪問するという目標を掲げています。」
「実際の訪問活動では、避難先が点在し活動範囲が広いため、1日に3先ほどしか訪問できないこともあります。しかし、組合員のなかには『遠くからよく来てくれた』と職員を迎えに外で待っていてくださる方もいらっしゃいます。また、職員自らが被災者であり――当JAには、家族と離れて勤務する職員も大勢おり、さまざまな悩みもあるでしょう――職員には苦労を掛けていると思いますが、組合員のみなさんからの感謝の声を励みに頑張ってくれています。」
カルスト森林組合の職員のみなさん
現場職員の平均年齢は30歳と、ここ数年で、林業に関心を持つ若い世代が増加。
カルスト森林組合では、「緑の雇用」事業の研修制度を活用し、これまで10名の修了者が誕生。
若い力を山に呼び戻す取組みとともに、認定施業プランナーの育成にも力を入れています。
(取材日:平成27年5月)
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