農地を守り、新たな担い手を育てるJA出資型農業法人
大規模農業経営のモデルとして「地域農業の攻め手」に
2017年の農業就業人口は、181.6万人(2010年対比▲79万人)。そのうちの約65%(120.7万人)が65歳以上の高齢者で、農業者の減少と高齢化が進んでいます。今後、高齢の農業者がリタイアすると、この傾向はますます進むことが予測され、日本の農業にとって、「担い手不足」が深刻な問題であることが分かります。一方で、農地面積は年々著しく減少し、「耕作放棄地(注1)」や「荒廃農地(注2)」が増加しています。
このまま農業の担い手が減り続けると、貴重な資源や技術が次の世代に継承されず、町自体の活力が失われてしまうことにもなりかねません。日本の農業にとって、担い手不足と農地の荒廃は、正に待ったなしの危機的な状況なのです。
その中で、JAが自ら農業生産を行う「JA出資型農業法人」の数が全国で増えています。担い手が不足する地域において、JA内部や地域での合意を前提に、JAが農業経営を行い、生産や農地管理、農業の受託、援農派遣による労働力確保などを行っています。当初は、「担い手がいない農地をしっかり守る」ことが主な目的でしたが、ここ数年は、新規就農者の育成など、新たな担い手の創出にも力を入れています。
2017年までに、646の法人が設立されています(図)。この中には、次世代のモデルとなりうる規模の大きな法人が多いことが特徴です。また、経営管理する農地を新規就農者に引き継ぐことで、耕作放棄地の復旧を行うとともに、新規就農者研修の受け入れも行っています。事業分野は水田、畑作、露地野菜、樹園地、施設園芸、酪農・畜産と、多様化・拡大しており、その役割はますます大きなものになっています。
地域の農地を自ら担う「最後の担い手」から、それに加えて担い手の育成や耕作放棄地再生を通じた「最後の守り手」へと、役割を発展させてきたJA出資型農業法人。今後は、大規模農業経営のモデルとして、「地域農業の攻め手」となり、さらなる地域の活性化に貢献することが期待されています。
JAとは
JAとは、相互扶助の精神のもとに農家の営農と生活を守り高め、よりよい社会を築くことを目的に組織された協同組合です。この目的のために、JAは営農や生活の指導をするほか、生産資材・生活資材の共同購入や農畜産物の共同販売、貯金の受け入れ、農業生産資金や生活資金の貸し付け、農業生産や生活に必要な共同利用施設の設置、あるいは万一の場合に備える共済等の事業や活動を行っています。
信連とは
JA系統信用事業の都道府県段階の連合会組織です。JAの事業運営をサポートする県域機能を発揮するとともに、地域金融機関としてJAと連携して金融サービスを提供することにより、JAと一体となって地域の皆さまに金融サービスを提供しています。
農林中央金庫とは
農業協同組合(JA)、漁業協同組合(JF)、森林組合(森組)等の出資による協同組織の全国金融機関です。協同組織のために金融の円滑化を図ることにより、農林水産業や国民経済の発展に貢献することを目的としています。
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